偽膜性大腸炎の原因と症状

偽膜性大腸炎とは

偽膜性大腸炎(ぎまくせいだいちょうえん、英: pseudomembranous colitis)とは、腸内細菌叢のバランスが崩れたことにより、病原菌Clostridium difficileが増殖し、腸内に炎症性の偽膜が形成される疾患です。主に抗生物質の使用後に発生することが多く、症状には下痢、腹痛、発熱、便臭の異常などがあります。重症化すると腸穿孔や敗血症を引き起こし、命に関わることもあります。治療には、特定の抗生物質の投与や、腸内細菌叢を整えるためのプロバイオティクスの摂取、血液浄化療法などが行われます。

偽膜性大腸炎の症状

偽膜性大腸炎の主な症状は以下の通りです。
  1. 下痢:水様性から粘液混じりの便が出ることが多く、一日に10回以上の排便がある場合があります。
  2. 腹痛:便通時に腹痛を伴うことがあり、痛みは軽度から激しいものまで様々です。
  3. 発熱:発熱がある場合があり、体温が上昇することがあります。
  4. 嘔吐:食欲不振や嘔吐の症状が出ることがあります。
  5. 偽膜:便中に黄白色の偽膜が見られることがあります。
  6. 腹部膨満感:腹部に膨満感を感じることがあります。

上記の症状がある場合は、偽膜性大腸炎の可能性がありますので、早めに医師に診察してもらうことが大切です。

偽膜性大腸炎の原因

偽膜性大腸炎の主な原因は、腸内の正常な細菌叢のバランスが崩れ、病原菌Clostridium difficile(クロストリジウム・ディフィシル)が増殖することにより引き起こされます。Clostridium difficileは、通常は正常な腸内細菌叢に存在していますが、抗生物質の使用などにより、正常な腸内細菌叢が破壊されると、Clostridium difficileが増殖し、毒素を分泌します。この毒素が腸壁に作用し、炎症性の偽膜が形成されます。

また、Clostridium difficileは、患者の病室や医療機関などの環境にも存在し、感染源となることもあります。感染予防のために、医療機関では手洗いや消毒の徹底が必要です。

偽膜性大腸炎の治療法

偽膜性大腸炎の治療法には、以下のような方法があります。
  1. 抗生物質の投与:Clostridium difficileを抑えるための抗生物質が使われます。代表的なものにメトロニダゾール、バンコマイシンがあります。
  2. プロバイオティクスの摂取:腸内細菌叢を正常化するために、善玉菌の摂取が行われます。ラクトバチルス菌やビフィズス菌などが含まれるプロバイオティクスが使用されます。
  3. 血液浄化療法:血液浄化療法を行うことで、Clostridium difficileの毒素を体外に排出することができます。
  4. 対症療法:脱水や栄養不良などの症状を緩和するために、点滴や栄養補給が行われます。

治療の方法は病状によって異なります。軽度の場合は、抗生物質やプロバイオティクスの摂取で治療が可能ですが、重症化すると腸穿孔や敗血症などの合併症を引き起こすことがあるため、早期発見・治療が重要です。

偽膜性大腸炎と診断されたら

偽膜性大腸炎と診断された場合、以下のような対応が必要です。
  1. 医師の指示に従う:治療方針や投薬、食事制限などについて、医師の指示に従いましょう。
  2. 充分な休養をとる:安静にして、充分な休養をとりましょう。
  3. 抗生物質を適切に使用する:抗生物質の使用量や使用期間には、医師の指示に従って正確に守りましょう。
  4. 食事の制限:軟らかい食事や消化の良い食事をとるようにしましょう。患者さんによっては、食事の制限が必要な場合もあります。
  5. 手洗い・消毒を徹底する:Clostridium difficileは、環境にも存在するため、手洗いや消毒を徹底して感染予防を行いましょう。
  6. 再発予防に注意する:再発予防のために、抗生物質の適切な使用、プロバイオティクスの摂取、手洗い・消毒の徹底などが必要です。

偽膜性大腸炎は、治療に時間がかかる場合がありますが、早期発見・適切な治療を行うことで、治癒率が高くなります。定期的な医師の診察を受け、再発予防にも注意しましょう。

偽膜性大腸炎の予防法

偽膜性大腸炎の予防法には、以下のような方法があります。
  1. 手洗い・消毒を徹底する:Clostridium difficileは、環境に存在するため、手洗い・消毒を徹底することが予防につながります。特に、入院中や病院の診療を受ける場合は、手洗いを頻繁に行うようにしましょう。
  2. 抗生物質の適切な使用:抗生物質は、細菌感染症の治療に有効ですが、腸内細菌叢を破壊するため、不必要な場合には使用を控えるようにしましょう。
  3. プロバイオティクスの摂取:プロバイオティクスは、腸内細菌叢を正常化するために有効です。ラクトバチルス菌やビフィズス菌などが含まれるヨーグルトやサプリメントを摂取することで、予防につながることがあります。
  4. 適切な食事:軟らかい食事や消化の良い食事を心がけ、過剰な脂肪や糖分の摂取は避けましょう。
  5. 充分な休養をとる:過度のストレスや疲れは、免疫力を低下させるため、充分な休養をとるようにしましょう。

偽膜性大腸炎は、Clostridium difficile感染症が原因の病気であるため、手洗い・消毒、抗生物質の適切な使用、プロバイオティクスの摂取などによって予防することが重要です。また、充分な休養や適切な食事も、免疫力を高めるために重要です。