慢性甲状腺炎(橋本病)の原因と症状

橋本病とは

橋本病とは、甲状腺自己免疫疾患の一つで、甲状腺が炎症を起こして機能低下する病気です。正式名称は、慢性リンパ性甲状腺炎(chronic lymphocytic thyroiditis)といいます。

橋本病は、自己免疫疾患の一種であり、体内の免疫細胞が甲状腺の細胞を攻撃することによって、甲状腺の炎症や破壊が引き起こされます。この結果、甲状腺ホルモンの分泌が減少し、甲状腺機能低下症を引き起こすことがあります。

橋本病は女性に多く、30歳以上の中年以降に発症することが多いです。多くは自覚症状がなく、検診で発見されることが多いです。症状がある場合には、甲状腺の腫れ、のどの違和感や圧迫感、冷感や疲れやすさなどがあります。

治療には、甲状腺ホルモン補充療法や甲状腺機能亢進症が合併している場合には抗甲状腺剤の投与などが行われます。また、定期的な甲状腺ホルモンの測定や甲状腺のエコー検査なども必要です。

橋本病の症状

橋本病の症状は、初期段階では全く現れないことが多いです。しかし、病気が進行するにつれ、以下のような症状が現れることがあります。
  1. 甲状腺の腫れ:甲状腺が大きくなり、首の前に膨らみができることがあります。
  2. のどの不快感:甲状腺が大きくなることで、のどの圧迫感や違和感が生じることがあります。
  3. 疲れやすさやだるさ:甲状腺ホルモンの分泌が低下するため、体がだるく疲れやすくなることがあります。
  4. 冷感や低体温:甲状腺ホルモンが不足することで、体温調節機能が低下し、冷感や低体温症状が現れることがあります。
  5. 便秘:甲状腺ホルモンが不足することで、消化器官の動きが悪くなり、便秘が生じることがあります。
  6. その他の症状:不眠、体重増加、心臓の動悸や不規則な動き、皮膚の乾燥やかゆみ、生理不順や月経量の減少などが現れることもあります。

これらの症状が現れた場合には、早期に医師の診断を受けることが重要です。

橋本病の原因

橋本病の原因は明確には分かっていませんが、以下のような要因が関連していると考えられています。
  1. 自己免疫疾患:橋本病は自己免疫疾患の一種であり、免疫細胞が甲状腺の細胞を攻撃して炎症を起こすことが原因の一つと考えられています。
  2. 遺伝的な要因:橋本病は、遺伝的な要因も関連していると考えられています。特に、HLA-DR遺伝子の異常が見つかっています。
  3. 環境的要因:ストレスや感染症、放射線曝露などの環境的要因も関連していると考えられています。
  4. ホルモンバランスの変化:女性ホルモンのバランスが崩れることで、橋本病の発症リスクが高まることが知られています。

以上のような要因が絡み合うことで、橋本病が発症すると考えられていますが、現在も詳細な原因は解明されていません。

橋本病の治療法

橋本病の治療法には、以下のような方法があります。
  1. 甲状腺ホルモン補充療法:甲状腺ホルモンの補充を行うことで、甲状腺機能の低下による症状を改善します。通常、合成甲状腺ホルモン製剤を服用します。
  2. 抗炎症薬の投与:甲状腺炎症が強い場合には、ステロイド薬などの抗炎症薬を使用することがあります。
  3. 甲状腺の手術:甲状腺が腫れている場合や、悪性腫瘍の可能性がある場合には、甲状腺の一部または全体を摘出する手術が必要になることがあります。
  4. 経過観察:初期の段階では、甲状腺ホルモン補充療法などの治療を行わずに経過観察することもあります。

治療法は病気の進行度合いや個人差によって異なります。医師との適切な相談が必要です。