血小板減少性紫斑病の原因と症状

血小板減少性紫斑病とは

血小板減少性紫斑病(thrombocytopenic purpura)は、血液の疾患の一種で、血小板が減少し、皮膚や粘膜の出血が生じる病気です。血小板は血液凝固に重要な役割を果たすため、血小板が減少すると、体内での出血の止まりが悪くなります。

血小板減少性紫斑病は、原因不明の自己免疫疾患とされています。自己免疫疾患とは、免疫細胞が本来攻撃するべきでない自分自身の細胞や組織を攻撃してしまう病気のことです。

この疾患の主な症状は、皮膚や粘膜の紫斑(青紫色の斑点)、鼻出血、歯肉出血、月経量の増加などです。また、重症の場合には、脾臓が肥大することがあります。治療には、ステロイド剤や免疫抑制剤、抗体療法などが用いられます。

血小板減少性紫斑病の症状

血小板減少性紫斑病(thrombocytopenic purpura)の主な症状は、以下のとおりです。

  1. 皮膚や粘膜の紫斑(青紫色の斑点) – これは、血管の壊死(破壊)が原因で発生する皮下出血です。小さな紫斑が数カ所から多数の大きな紫斑に広がることがあります。
  2. 鼻出血 – 鼻腔内の血管から出血が生じることがあります。
  3. 歯肉出血 – 歯肉から出血が生じることがあります。
  4. 月経量の増加 – 血小板減少により、女性の月経量が増加することがあります。
  5. その他の出血 – 皮膚、粘膜以外の出血も生じることがあります。例えば、消化器出血や脳出血などの重篤な症状も発生することがあります。
  6. 疲労感や息切れなどの全身症状 – 重症の場合、疲労感や息切れ、発熱などの全身症状が現れることがあります。

これらの症状が生じた場合は、早めに医師の診察を受けることが大切です。

血小板減少性紫斑病の原因

血小板減少性紫斑病(thrombocytopenic purpura)の原因は、主に2つのタイプがあります。

  1. 免疫介在性血小板減少症 – 自己免疫疾患によって血小板が破壊されることによって生じる血小板減少性紫斑病です。免疫細胞が血小板を異物と認識し、攻撃してしまうために起こります。
  2. 非免疫介在性血小板減少症 – 薬剤、感染症、がん、肝硬変、脾臓の異常など、免疫系とは関係のない原因で血小板が破壊されることによって生じる血小板減少性紫斑病です。

免疫介在性血小板減少症は、特に小児に多く発症します。原因不明のものが多いため、検査で特定することは難しい場合があります。非免疫介在性血小板減少症は、薬剤によって誘発されることが多く、抗がん剤や抗生物質、抗うつ剤などが原因になることがあります。

血小板減少性紫斑病の治療法

血小板減少性紫斑病(thrombocytopenic purpura)の治療法は、原因と症状の程度によって異なります。以下に代表的な治療法を示します。

  1. ステロイド薬 – 免疫介在性血小板減少症に対しては、免疫抑制剤の一種であるステロイド薬が効果的です。ステロイド薬は、免疫細胞の働きを抑制することで、血小板の破壊を抑えます。
  2. 免疫グロブリン – 免疫グロブリン療法は、免疫介在性血小板減少症の治療に使用されます。免疫グロブリンは、人工的に作られた抗体で、免疫細胞を抑制し、血小板の破壊を防ぎます。
  3. 脾摘出術 – 脾臓が血小板の破壊を引き起こしている場合は、脾摘出術が考慮されます。脾臓は、血小板の破壊を担う細胞を多く含んでいるため、脾臓を摘出することで血小板数が増加します。
  4. 抗がん剤 – 非免疫介在性血小板減少症に対しては、原因となる病気や薬剤に対する治療が主体となります。がんが原因である場合は、抗がん剤治療が行われます。
  5. 血小板輸血 – 重度の出血が続く場合は、血小板輸血が必要となることがあります。

血小板減少性紫斑病の治療は、個々の症状や病因に合わせてカスタマイズされるため、専門医の指示に従うことが重要です。

血小板減少性紫斑病と診断されたら

血小板減少性紫斑病(thrombocytopenic purpura)と診断された場合、まずは治療に専念することが大切です。症状の重症度や原因によって治療法が異なるため、専門医の指示に従うことが重要です。

治療に加えて、以下のことが推奨されます。

  1. 定期的な診察と検査 – 血小板数や出血傾向を確認するため、定期的に専門医の診察を受け、必要に応じて血液検査を受けることが重要です。
  2. 出血予防対策 – 出血傾向があるため、ケガを予防するために、転倒や切り傷などのリスクを避けるようにし、歯磨きや洗髪時には注意を払うことが大切です。
  3. 健康的な生活習慣の維持 – 食生活の改善や運動など、健康的な生活習慣を維持することで、全身の健康を維持し、血小板減少性紫斑病の症状改善にもつながることがあります。
  4. 疾患情報の理解 – 自分自身が抱えている疾患に関する情報を収集し、理解することが重要です。また、家族や友人、職場の人々にも説明し、理解してもらうことで、支援を受けやすくなります。

血小板減少性紫斑病は、早期に診断し、適切な治療を受けることが重要です。また、定期的なフォローアップを受けることで、治療の効果や症状の変化を確認し、適切な対応を行うことが必要です。

血小板減少性紫斑病になりやすい人の特徴

血小板減少性紫斑病(thrombocytopenic purpura)は、どの年齢層でも発症する可能性がありますが、以下のような人々に発症しやすい傾向があります。

  1. 女性 – 女性の方が男性よりも発症率が高いとされています。
  2. 子ども – 子どもの場合、特にウイルス感染によって発症することが多く、特に5歳未満の幼児が多いです。
  3. 自己免疫疾患を患っている人 – 自己免疫疾患を患っている人は、免疫システムが異常に反応し、体内の健康な組織や細胞を攻撃するため、血小板減少性紫斑病の発症リスクが高まります。
  4. がんを患っている人 – がんの治療に使用される化学療法や放射線療法は、血液細胞を攻撃するため、血小板減少性紫斑病の発症リスクが高くなります。
  5. 薬物治療を受けている人 – 薬物治療によって、免疫システムが影響を受けることがあり、血小板減少性紫斑病の発症リスクが高くなることがあります。

ただし、これらの特徴があっても必ずしも血小板減少性紫斑病になるわけではありません。症状が現れた場合には、適切な医療機関で診察・治療を受けることが大切です。

血小板減少性紫斑病の予防法

現在、血小板減少性紫斑病(thrombocytopenic purpura)を予防する方法はありません。しかしながら、以下のような注意点を守ることで、発症リスクを減らすことができます。

  1. 感染予防 – 感染症による発症が多いため、手洗いやマスク着用、人混みの場所での予防策などを実践することが重要です。
  2. 薬物治療についての確認 – 薬剤によっては血小板減少性紫斑病の発症リスクが高まる場合があります。そのため、医師に薬剤の種類や用量について確認することが大切です。
  3. 睡眠不足やストレスの軽減 – 睡眠不足やストレスは免疫力を低下させ、発症リスクを高めることがあります。適度な睡眠とストレスの軽減に努めることが重要です。

また、既に血小板減少性紫斑病を患っている場合には、治療計画を遵守することが予防に繋がります。適切な治療を受けることで、再発や合併症の発生を防ぐことができます。