11.社会のルールを理解することの難しさ

通常、社会生活上のルールは「守ること」から始まります。

そのためには、いわれたことを同じ意味として理解する能力と、言葉あるいは文章として記憶しておく能力が必要です。

しかも、ルールはいつも同じではありません。周囲の状況、あるいは相手に応じて変わっていきます。

すなわち、周囲の状況に応じて、自分を変えることも必要になるわけです。その基準を決めるのは、とてもむずかしいことです。

このことが状況判断の能力ですが、主に過去の経験を視覚的イメージとして記憶し、現在の状況と比べて理解していくことと関係しています。

大人の場合でこのことがうまくいかなければ「人とうまく付き合えない」「友だちができない」「場が読めない」ということになります。

例えば、職場で昼食を食べながら何の話をするか、仕事をどのように分担していくかなどの、「言葉でいわなくても、雰囲気で当然みんながわかると思っていること」に理解がおよばないのです。

このことが「自己中心的」といわれるゆえんです。

ADHD(注意欠陥・多動性障害)とPDD(広汎性発達障害・広い意味での自閉症)の人は、このような問題があることが多いのです。

ですから、成人するまで気付かれず、他人とうまく付き合えない、職場で浮いた存在になってしまう、仕事が続かない、などの問題から悩み、引きこもりやニートになってしまうことが多いとされています。

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