子育ての観点からアスペルガー症候群やADHDを紹介

8.アスペルガー症候群に似た症状・DAMP症候群


1950年代、医学会では、運動過多、運動過少、注意欠陥障害、不器用、認知障害などさまざまな状態をMBDと診断し、教育会ではLD(学習障害)としていました。

その後、発達障害という概念が導入されましたが、最近の診断基準であるDSM-Ⅵでは、発達しょうがいの的確な位置づけがなされなくなりました。

以前のDSM-Ⅵ-Rでは、発達障害として、全般的で気につな遅れである精神遅滞、PDD(広汎性発達障害)は全般的で不均一な遅れ(偏り)と解釈することができました。

特異的発達障害は、ある特定領域のみの遅れを意味しています。読み・書き・計算障害は学習能力障害、教育会での定義であるLDに含まれ、聞く・話す能力の障害は言語と会話の障害の発達性言語障害としています。

いわゆる不器用な子ども、運動能力の障害は、DCD(発達性協調障害)とされています。学童の6%程度に認められ、発達的に理解でき、日常生活に影響が及ぶほどの不器用さがあり、体育などの粗大な運動、あるいは図画工作、音楽での楽器の操作などの繊細な運動に問題があります。

この疾患に関して我が国においては、主にリハビリテーションと療育分野、特に作業療法士との取り組みと関係が深いといわれています。

教育現場での考え方では、NVLD(非言語性学習障害)は、学習障害が、言語障害を基盤にしているところが多いことと、非言語の問題が社会的成熟と自立の問題としてとらえられていたため、DSM-Ⅵにも文部科学省の定義の中にも言及されていません。また、右脳障害症候群あるいはアスペルガー症候群と同一、あるいはほぼ重なるというように考えられています。

言語性障害は主に話し言葉、読み言葉、書き言葉、数学などの面で学習能力の障害として現れます。

非言語の問題は、空間見当識、身体像、表情認知、身振りの解釈、社会的知覚、そして書字と計算に必要な種々の視覚ー空間運動過程を妨げますが、これらは言語理解における虹効果と考えることができるため、学習障害に含めることも、あながち無理のないことではありません。

DSMでは、ADHDとPDDの併存は認めていないため、非定型自閉症(自閉症に近似の発達障害であるが、自閉症の診断基準は満たさない)といわれています。

ADHDとは親が子どもの変調に気付く年齢が、非定型自閉症のほうが優位に早く、社会的刺激に無反応であることで、気付くことが多いといわれています。

すなわち、鑑別のポイントとしては、不注意、多動、衝動性ではなく、社会性の障害の有無によると考えられます。

DAMP症候群は、北欧で一般的な概念で、おおよそADHDとDCSが合併した概念であり、より広く考えればADHD、DCD、LDを包括した概念とも理解することができます。

日本語の診断名として記述するとすれば、「注意及び運動制御・知覚の障害」となり、北欧を中心に実施された疫学調査によると、DAMP症候群の頻度は4〜7%、より重症のDAMP症候群の三分の二は自閉症的であり、三分の一はアスペルガー症候群の特徴も併せ持っています。しかし自閉症の症状が顕著な場合には、自閉症スペクトラムに含めるべきであるといわれています。

このように、ADHDと自閉症は、識別が困難な合併しているとしか考えられない中間型と理解したほうがいい状態があります。ですから、あまり診断名にこだわらず、そのときの子どもの示す症状に寄り添い、どのようなサポートが必要かを第一に考えるようにしましょう。

次は『ADHDとPDDに認められる多動・衝動性の違い』

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