2.ADHDの原因と経過

ADHDは生化学的には、ドーパミンおよびノルアドレナリン系の機能低下、解剖学的には前頭前野(前頭連合野)・線条体・小脳の機能低下が想定されています。

認知神経心理学的には以下の障害が想定されています。

  1. 遂行機能(自分をコントロールする能力)の障害
    1. 長期的に見て自分の得になるような行動がとれる能力の障害。
    2. 思考実験は健常発達では9〜14歳で成熟するとされています。
  2. ワーキングメモリー(作動記憶)の障害
    1. 目の前で見たこと、聞いたことを過去の経験に照らし合わせる短期記憶と、それらの出来事と関係のあると思われる、過去の記憶を同時に考えるスペースの障害と考えられています。
    2. 視覚系ワーキングメモリーは、視覚イメージでは2〜4歳で完成。聴覚系ワーキングメモリーは、内的言語であり、9〜11歳で成熟すると考えられています。
  3. 感情を内に秘める能力の障害
    1. 8〜12歳で成熟すると考えられています。
  4. 時間感覚(瞬間・瞬間と時間の予測)の障害

主に、脳の活動や覚醒に影響を及ぼす神経科学的な異常が関与している可能性がありますが、現在、有力な説としては、脳の前頭前野の機能障害、ワーキングメモリーの機能不全、神経伝達物質のドーパミンの相対的欠乏などが想定されています。

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