うつ病とは
うつ病に悩む人は多く、がんや糖尿病と並び、国民に広くかかわる病気として5大疾病のひとつに数えられています。
人生の中で、約10人に1人が一度はかかる身近な病気
厚生労働省の患者調査によれば、この20年間で「うつ病」の患者さんの数は10倍に増え、平成20年度には104万人にものぼりました。
平成23年度は、東日本大震災の影響で福島県や宮城県の一部が統計に含まれていませんが、それでも100万人近い患者さんがいることはたしかです。
うつ病というと、かつては働き盛りの年代に多いとの認識がありましたが、現在は若い世代にも多く見られるようになりました。
10〜15人に1人はかかるともいわれ、いまや珍しい病気ではなくなっています。
「命にかかわる病気」だが、病気と気付かない人も多い
広く知られるように、うつ病は自殺と深く関係しています。
苦しみ悩んだ末に、死を選んでしまう悲しい例が、非常に多いのです。
日本の自殺者の数は、年間3万人前後にのぼっています。
警察庁の調べでは、直接うつ病が関係しているのは、そのうち2割程度とされています。
しかし実際には、直接的ではなくても、その背景にうつ病があるケースも非常に多いのではないかと考えられています。
また、自分が病気であると気付かなかったり、病院に行くのをためらっててしまい、受診しないままに悩んでいる人も多く見られます。
きちんと受診し、適切な治療を受けているのは、症状に悩む人のうち、ごくわずかしかいないのが現状なのです。
うつ病の症状とは
うつ病の症状の中心は「抑うつ気分」ですが、そのほかにも体の症状や妄想といったさまざまな症状が現れます。
悲観的な考えばかりが巡り睡眠や食用など体への影響も
深く落ち込み、憂うつで気が晴れない状態を「抑うつ気分」といいます。
うつ病の中心にあるのは、この抑うつ気分です。
うつ病による抑うつ気分では、楽しさを感じられないだけでなく、『悲しくてつらい』といった感情すらもわいてきません。
心のエネルギーが無くなってしまったような状態とえいます。
そのような虚無感をなんとかしたいと、イライラしたり焦燥感をもつ患者さんも多くいます。
うつ病で現れるのは、心の症状だけではありません。
疲れやすかったり、めまい、肩こり、吐き気など、体の症状が現れることもあります。
うつ病の患者さんには、周囲への気配りが厚い人が多く、心配をかけまいとして症状が軽い初期には、無理にニコニコ笑っていることもあります。
そのため、自分は苦しくてしかたないのに、周りの人には元気そうに見えてしまうことがあります。
午前中に症状が強く、夕方に向けて少し軽くなる人が多い
うつ病の患者さんの多くは、朝に症状が強く、午後から夕方にかけて軽くなる傾向があります。
健康な人でも、仕事や学校のある平日の朝はつらく、午後になるにつれて気分がよくなるということはあります。
ところが、うつ病では、平日も休日も関係なく、このような傾向があります。
ただ、なかには夕方に症状が重くなったり、症状の変動がないという人もいます。
うつ病のおもな症状
食欲の低下、または増加
うつ病の人は、すべての欲望が低下するといわれ、食欲も例外ではありません。
何を食べても、味のない砂を噛んでいるようだと訴える人もいます。
人付き合いが悪くなり、引きこもりがち
重症であればあるほど、「そっとしておいてほしい」と感じます。周囲の人に気をつかい、無理をして人と会っているような場合は、悪化の原因に。
眠れない、または眠りすぎる
多くの患者さんが不眠に悩みます。
一般的には、寝付きはわりとよいが、すぐに目が覚めてしまう人が多いといわれています。
例外的に眠りすぎてしまう場合もあります。
よいことがあっても気分が晴れない
うつ病では、深く落ち込む原因となったできごとが解消されたり、どんなによいことがあっても、気分の落ち込みはまったくよくなりません。