3) 高尿酸血症の治療

薬物療法と生活療法の2本立てで治療


激しい痛みを伴う痛風の発作が治まったら、その原因である高尿酸血症の本格治療を目指すことになります。

尿酸値を正常域に下げることができれば、痛風発作の再発を防ぐのはもちろんのこと、腎障害や尿路結石などの合併症も回避できます。また併発しやすい肥満、高血圧症や糖尿病なども予防できます。

高尿酸血症の治療は薬物療法と生活療法が大きな柱となります。食事療法を中心とする生活療法は、併発しやすい肥満、高血圧症、糖尿病などの生活習慣病の予防や改善に効果があるので積極的に取り組みたい治療法です。

痛風発作や痛風結節が見られる場合は、薬物療法が中心となります。

このような症状がない無症候性高尿酸血症の場合は、血清尿酸値が8mg/dl以上の人は生活療法に加えて薬物療法が行われることになります。ただし、痛風発作が起こらず、腎障害、尿路結石、高血圧、高脂血症、糖尿病などの合併症もない場合は、少しゆるい基準となって9mg/dl以上で薬物療法になります。

尿酸降下薬には尿酸排泄促進薬と尿酸生成抑制薬がある

尿酸降下薬は、その作用の違いによって、尿酸の排泄を促進する薬と生成を抑制する薬があります。

尿酸は腎臓の糸球体にある毛細血管の血管壁から一旦すべてろ過されます。しかし、その尿酸は再び吸収され、ろ過された尿酸のうち10%が尿とともに排泄されることになります。この再吸収を抑制し、尿酸の排泄を促進するのが、尿酸排泄促進薬の働きです。代表的な薬にベンズブロマロン(商品名ユリノーム)があります。

尿酸を尿中に排泄するので、服用を始めたころは尿中の尿酸量は増えますが、尿酸プールが正常化すると、尿中尿酸値はあまり増加しません。

しかし、尿路結石には注意が必要です。

尿酸生成抑制薬は種々のプリン体が尿酸に変化する過程に関与する酵素の働きを阻害する作用がある薬です。

この薬品を投与すると血液や尿の中の尿酸量が減少します。しかし腎障害のある人の場合は、中毒症状が出ることがあり、服用量を減らさなければならないので、医師の処方量をきちんと守ることが大切です。

病型によって尿酸降下薬のタイプを選択する

高尿酸血症には排泄低下タイプ、産生過剰タイプ、混合型の3つのタイプがあります。タイプによって、降下薬の種類も選ぶことになります。

排泄低下タイプには、尿酸排泄促進薬産生過剰タイプには生成抑制薬を使用するのが原則となります。

これは、尿酸値を下げる効果面からだけではなく、副作用からも決められた選択基準です。

尿酸排泄促進薬は、尿中の尿酸が増え、尿路結石のリスクが高まります。したがって尿中排泄量の多い生産過剰タイプに使用すると、そのリスクはますます高まることになります。

混合型のタイプでは排泄促進薬、生成抑制薬のいずれを使ってもよいとされています。

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