皮脂の長所と短所を知って正しく対処

ニキビの成り立ちを考えると、皮脂は悪者に捉えられがちですが、実際のところ、皮脂は肌の潤いを保つのに必要不可欠なもの。肌がニュートラルな状態のとき、みずみずしく潤って調子がいいときは、皮脂と水分のバランスで混じりあい、外的刺激から肌を守る保護膜となるのです。水分だけが十分あっても、油の膜がなければ水分は蒸発してしまい、肌に保っておくことができません。問題は、必要以上に分泌されてしまうこと、分泌された皮脂に間違った対処をしてしまうことなのです。

思春期のニキビと違い、大人ニキビはTゾーンなどのもともと皮脂分泌が多い部位にできるわけではありません。フェイスラインなど、本来は過剰に皮脂が分泌されないはずの部位にできるのです。

大人ニキビは肌質に関わらずできるのも特徴です。乾燥肌の人であっても、局部的に皮脂の分泌量が増え、ニキビができてしまいます。こうした場合、肌全体がべたついたり、ぎとついたりするわけではないので、もともとオイリー気味な人がするような皮脂を取り除くケアだけをすれば解消するというものではありません。まずはニキビの原因となる過剰な皮脂の分泌を抑えることが先決なのです。

皮脂と水分のバランス

ニキビができているときは、オイルフリーの化粧品か、油分が配合されていてもノンコメドジェニックのものを使うのがベスト。皮脂の分泌は盛んでも、毛包の出口の角質が肥厚した部位は、水分の保持能力やバリア機能は落ちています。毛穴の出口をふさいでしまう角質肥厚を進行させないためにも十分な水分補給と保護は欠かせないケアです。

また、皮脂分泌の多いニキビ肌は、表皮のバリア機能も落ちている場合が多いので、油っぽいのに乾燥している、ざらざらする、肌が固く弾力に欠けると思ったら、油分を含む保湿剤がかえって効果的な場合があります。そんなときは、セラミドなどに代表される表皮由来の脂質やコメドを誘発しにくい油分で構成されているものを選びましょう。

スキンケアは洗浄保湿・保護UVカット基本3ステップを、できるだけシンプルで使用目的が明確なアイテムを使っておこないましょう。有効成分や保湿剤を入れたリッチな化粧品も魅力ですが、シンプルなケアのほうが肌に負担が少ないからです。

化粧水は保湿機能もさることながら、洗浄や引き締めの機能にこだわって選びましょう。洗顔後の肌をすっきりふきとり、さらっとした状態に整えるのが目的です。乳液やクリームは、本来、適度な油分で肌を覆って保護するのに必要なアイテムですが、ニキビができた肌にはこれもオイルフリーのものやコメドを誘発しにくい油で構成されたものを選択します。

仕上げは紫外線吸収剤フリーでUVカット効果のあるものを。また、最近では、皮脂コントロール効果のあるアイテムにも優秀なものがたくさん出てきているので、試してみるのもいいでしょう。

皮脂を落とし過ぎないニキビ洗顔のコツ

炎症を起こしたニキビがある肌は敏感。皮脂を落とそうと洗顔の回数をむやみに増やしたり、思春期の男子が使うような脱脂力が強い洗顔料を使う行為は、逆に肌にダメージを与えてしまいます。頬骨の高い部分が乾燥してカサカサになったり、赤くデリケートになっている人は、比較的皮脂が少ないのに、念入りに洗いすぎて必要以上に潤いが奪われてしまっているからです。

洗顔は、顔全体を濡らしてから洗顔料をよく泡立てて、きめ細やかな泡で肌を打つようにやさしく洗うのがコツです。脂っぽくなりやすいTゾーンを中心に洗いましょう。泡立ちにくい場合は、泡立て用のネットやスポンジを使うと簡単です。馴染ませた泡が汚れや皮脂を包み込んで肌から剥がし取ってくれるので、強くこする必要はありません。間違っても、乾いた顔に泡をのせたりゴシゴシ力を入れて縦に顔をこするような乱暴な洗い方をしないこと。

ファンデーションをつけている場合夜はダブルクレンジングが基本となります。クレンジング料は、低刺激でかつ汚れを確実に落とすものを選びましょう。また、肌を強くこすってしまう可能性があるふきとりタイプではなく、洗い流すタイプのものを選ぶことも大事です。

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