家族が困る症状・睡眠障害

家族にストレスをもたらす睡眠障害

認知症患者さんを介護するうえで困った症状のひとつに睡眠障害(不眠)があげられます。

  • 夜間、寝ないでごそごそする
  • 夜中に何回も覚醒して家中を歩き回る
  • 1人ではなかなか寝付かない(不安症状のため)
  • 明け方、無断で家から出て行ってしまう
  • 昼間ウトウトし、夜間騒ぐ。落ち着かない

介護する家族が最も困るのは、患者さんが夜間寝ないことです。夜間、寝ないでごそごそ家中を歩き回る、明け方無断で家から出て行こうとするなどの症状がみられると、家族は安眠できず、精神的、身体的なストレスの増大につながります。

4つの不眠タイプ

入眠障害

寝付けない、布団のなかで寝付くまで時間がかかる

中途覚醒

夜間に何回も目が覚める。一度覚醒すると再び寝付けない

早朝覚醒

朝方早く目が覚めてしまう。予定の起床時間より2時間ほど早く目が覚めてしまう

熟睡障害

睡眠時間は十分だが、本人が寝た気がしない

入眠障害は、就床後から入眠するまでに時間がかかり、寝付きが悪い状態です。睡眠障害の中で最も多いタイプです。

中途覚醒は、入眠後から翌朝起床するまでに何回も目が覚めてしまう状態を指しています。夜中に目が覚めてしまい、しばらく寝られない状態を繰り返します。

早朝覚醒は、翌朝起床しようと考えている時刻から2時間以上前に目が覚めてしまい、その後に睡眠をとれない場合です。

熟睡障害は、客観的には睡眠できているにもかかわらず、患者さん自身が十分寝ていないと感じて苦しむ場合です。

高齢者では、寝付きが悪い(入眠障害)あるいは夜間、何回も目が覚めてしまう(中途覚醒)がしばしばみられ、早朝に目覚めてしまうことが多いのです。認知症患者さんの場合も、これと同様の不眠がみられます。

睡眠障害への対処法

基本的な対策は、睡眠環境を整備するなどの非薬物療法と睡眠薬などによる薬物療法を併用するものです。しかし、認知症が進んでくると睡眠覚醒に関与する脳自体に器質的な障害出現してくることから、睡眠薬などの薬剤の効果を期待できないこともしばしばあるので、実際の対応に苦慮する場合もみられます。

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