認知症を起こす原因疾患

知っておくべき認知症を起こす原因疾患

認知症は、ひとつの症状であって病名ではありません。認知症を起こす原因疾患は数多くみられ、70あるいは100の病気があるといわれています。しかし、その大部分はまれな病気であり、遭遇する機会は多くありません。

私たちが知っておくべき認知症を起こす原因疾患は、アルツハイマー病アルツハイマー型認知症)と脳血管性認知症レビー小体型認知症前頭側頭型認知症の4つです。

アルツハイマー病は原因、認知症は結果

物忘れ外来で診療を行っていると、「認知症とアルツハイマー病は同じですか?」「アルツハイマー病と診断されていますが、認知症とちがうのですか?」と質問されることがしばしばあります。認知症は、頭痛や胃痛と同じようにひとつの症状であり、病名ではありません。認知症を起こす原因となる病気のひとつにアルツハイマー病があるのです。

両者の関係を正確に表現すると、アルツハイマー病とい脳の病気が原因になって認知症という症状(結果)を起こしていることになります。

認知症かどうかを判断するのは難しい

認知症に進展しているのか否か判断できない患者さんが9.3%というデータがあります。つまり、物忘れを心配し受信される患者さんの約10人中1人は、認知症の有無を判断することが困難なのです。現在の医学では、認知症を確実に診断できる検査はないのが実情です。認知症の有無を判断する根拠として、日常生活に支障をきたすことが必要条件です。では、どこまで支障をきたしたら、認知症と判断できるのでしょうか?

これについては、決まった規定はありません。たとえば、買い物で同じ食材を二度買ってきたら認知症でしょうか?誰でもうっかり同じものを二度買ってくる可能性はあります。しかし、認知症に進展していて朝買ったことを忘れてしまい、同じ物を再度買ってしまったのかもしれません。このように認知症が軽度の場合、年齢に伴う心配いらない物忘れ(良性の物忘れ)との区別がとても難しくなるのです。

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