精神的な刺激が多いほうが認知症になりにくい?
物忘れ外来の診療では、「精神的な刺激が多いほうが認知症になりにくいのでしょうか?」「なにもしないと認知症になりやすいのではないか?」などの質問をしばしば受けるそうです。医学的な見地からみると、精神的な刺激や活発な行動が認知症予防に役立つのか否かについては賛否両論があります。
しかし、一般的には認知機能を刺激するような活動や行動を頻繁に行うことは、アルツハイマー病発症の危険を減少させる可能性があると思われます。
日常生活上の仕事などが認知症予防につながる
2007年、米国の医学雑誌に、「新聞を読んだり余暇を楽しむなどの精神的な刺激活動が活発でない高齢者は、これらを活発に行う高齢者に比べて、アルツハイマー病になる確率が2.6倍高いとの報告が掲載されました。
また、テレビをみる、読書をする、ゲームをするなど、日常生活上での7項目の活動性を目安にして、認知症のない801人のカトリック修道女や修道士を4〜5年間にわたって調査した結果では、活動性が1ポイント増加するとアルツハイマー病発症の危険性が33%減少することが明らかになっています。
この結果からもわかるように、日常生活での簡単な仕事や趣味などを継続して行うことが認知症の予防につながる可能性はあるようです。
意欲的な生活を続けることが大事
定年退職後、自宅にてぼーっとした生活を送っていた男性患者さんが、認知症を疑われて物忘れ外来に連れてこられる事例が多いそうです。また、現職でバリバリ仕事をしている患者さんでも、アルツハイマー病に罹患する方がみられます。
精神的な刺激あるいは活発な活動によって認知症を本当に予防できるのかどうかはよくわかりませんが、認知症に限らず身体的な疾患を予防する視点から考えても、意欲的な生活態度を続けることは、けっしてマイナスにはならないと思います。
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