信頼できる主治医をどのようにみつけるか

親身になって相談に乗ってくれる医師を探す

認知症についていろいろと相談できる主治医に出会うのは、大変難しい問題です。すべての医師が認知症に関心をもっているわけではありません。また、現在通院している主治医の先生すべてが認知症診療に詳しいとは限らないからです。

認知症患者さんを介護するうえで家族が最も困るのは、行動障害や精神症状の存在です。徘徊や物盗られ妄想にどのように対応したらよいか?夜、寝ない患者さんをどのように介護したら良いか?このような行動障害や精神症状の対応に困っていると思います。

家族のどなたかが認知症になった時、最も大切なことは、認知症と診断された後の上手な介護、適切な対応です。そのため、患者さんや介護する家族の立場を考えて診療してくれる医師をみつけることが最も大切なことです。たとえば、徘徊で困っている場合、徘徊に対する具体的な対策を親身になって考え、アドバイスをしてくれる医師が信頼できる医師といえるのではないでしょうか。患者さんや家族の訴えに対して、「自分は専門でないからわからない」のひと言で済ませてしまう医師や、質問に対して聞こえないふりをする医師はあまり頼りにならないと思います。

もしも認知症が専門ではなく自分の診療範囲を超えているならば、しかるべき医療機関を紹介してくれるのが、本来のあるべき医師の姿です。患者さんや家族は困っているのです。その困っていることに対して対策を講じることができない医師では、ご自分の家族を任せるのを不安になりませんか。

口コミが最も確実な方法

信頼できる医師をみつける最も確実な方法は、他の介護家族あるいは介護スタッフなどからの口コミではないでしょうか。実際に家族の一員が受診し、病気や介護の仕方などについて説明を受けた家族が、この医師あるいは病院・医院は信頼できると感じた医療機関を紹介してもらうのが、最も確実な方法ではないかと思います。

現在の医学界では、専門医制度が乱立しています。ある病気を心配した時には、その病気の専門医を標榜する医師が勤務する医療機関を受診することが多いと思います。それはけっして誤った受診方法ではありませんが、「◯◯科専門医」という看板に惑わされるべきではないと考えます。専門医を標榜しているだけで、実際にはその病気を診療していない場合も少なくありません。実際に、その病気を診療しているのか否かを見極めることも重要なことになってきます。

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