怒りっぽい患者さんへの薬

抗精神病薬と抗てんかん薬

認知症の患者さんの中には、些細なことですぐ怒る、原因がはっきりしないのにかぞくに暴言を吐く、そこから発展して威嚇行為や暴力行為に及ぶ方がみられます。基本的な対応は非薬物療法ですが、介護する家族の精神的・身体的な負担が大きい場合には、薬物療法の併用を開始します。

使用する薬剤としては、抗精神病薬と抗てんかん薬が主なものです。抗精神病薬は、幻覚や妄想、暴力行為に対するときに使用するものと同じ薬剤です。抗てんかん薬では、バルプロ酸(商品名:デパケンバレリンなど)あるいはカルバマゼピン(商品名:テグレトール)を使用する場合が多いと思います。

なお、薬の副作用で怒りっぽい(易怒性)状態が出現していることもあります。たとえば、アルツハイマー病の治療に使用される塩酸ドネペジル(商品名:アリセプト)によって、まれに怒りっぽくなることが報告されています。怒りっぽい状態がひどいならば、一度主治医に相談したほうがよいでしょう。

次ページの「非薬物療法の認知症への効果」へ