抗認知症薬として使われている薬剤
2015年3月現在で、わが国で使用できる抗認知症薬は塩酸ドネペジル(商品名:アリセプト)だけです。海外ではいくつかの薬剤が使用可能になっています。
現在使用されている薬剤は、その作用から、コリンエステラーゼ阻害薬、N-methyl-D-aspartate受容体拮抗薬に分けられます。前者には、アリセプト以外にリバスチグミンやガランタミンなどがあり、後者にはメマンチン塩酸塩があります。
コリンエステラーゼ阻害薬
コリンエステラーゼ阻害薬は、簡単に言うと脳内に存在するアセチルコリンの分解を抑える働きをもつ薬剤です。アセチルコリンとは、記憶機能に関与しているとされる神経伝達物質です。この現象がアルツハイマー病の発症に関与している可能性があることから、脳内のアセチルコリンの分解を抑える薬剤がアルツハイマー病の症状進行を抑制できると考えられ、世界で広く使用されるようになってきました。
しかし、アセチルコリンを産生する神経細胞がさらに壊れてしまうと、アセチルコリンもより減少してしまい、コリンエステラーゼ阻害薬では、その不足分を補うことができなくなります。このためコリンエステラーゼ阻害薬を使用していても、服薬後1年前後から再び症状が進行・悪化していくことになります。
現在、わが国ではリバスチグミンやガランタミンなどの臨床治療が進行中です。ガランタミンは経口薬ですが、リバスチグミンは消化器系の副作用を避けるために経皮吸収型(いわゆるパッチ、貼り薬)に変更して治療を行っているようです。