腋臭はなぜ起こるのか?

私たちの肌の表面には「汗腺」というものがります。

この汗腺には2種類あり、ひとつは「エクリン汗腺」、もうひとつは「アポクリン汗腺」と言います。

これに加えて「皮脂腺」という器官があり、これら3つの器官から出る分泌物が腋臭に関係しています。

腋臭とは、汗腺類からの分泌物(脂肪分やタンパク質)が皮脂の常在菌(細菌)によって分解され、ワキガ臭となる強い腐敗臭を発生するということなのです。

以下に、それぞれの器官の働きや特徴を解説します。

エクリン汗腺

エクリン汗腺は前進に分布しており、直径0.4ミリという小さな組織であることから「小汗腺」と呼ばれています。

皮脂表面から1〜3ミリと、比較的浅い部分にあり、皮膚表面に開口して汗を分泌しています。いわゆる、暑いときにかく、あの汗です。

ここから分泌される「エクリン汗」は、皮膚表面で蒸発することで、熱を発散させる働きがあります。

暑いときに汗をかくのは、これによって体温を下げるのが目的です。

成分の99%は水分で、わずかに塩分を含み、汗自体は無色、無臭でサラリとしているのが特徴です。

「汗臭い」と言われるのは、かいた汗をそのままに放置することで、皮膚上で雑菌が繁殖し、ニオイの原因になっているのです。

この汗腺は皮膚の1センチ四方に平均100個、前進で約230万個も存在すると言われており、一日に平均なんと1.5〜2リットルもの汗を出しています。

ひとつひとつは小さな存在ですが、じつはかなりの働き者の器官なのです。

ちょっとした気温の変化や精神的な緊張などで、すぐに汗をかいてしまう汗っかきの人は、このエクリン汗腺の働きが活発な人ということが言えます。

もちろん、多汗症のカギを握るのもこのエクリン腺です。

アポクリン汗腺

一方、アポクリン汗腺はエクリン汗腺の10倍ほどの大きさがあります。

そのため、「大汗腺」とも呼ばれています。

エクリン汗腺より皮膚の深いところにあり、開口部は毛穴につながっています。

そのため、脇、耳の中、乳首、へその周辺、陰部など、体毛の濃いところだけに存在します。

でも、なぜか頭皮には存在しません。

「アポクリン汗」はエクリン汗と比べると、分泌量が少なく、成分に脂肪やタンパク質、色素、蛍光物質などを含み、少し粘り気があるのが特徴です。

一度、汗をかくと24時間ほど活動を休止するという点からも、エクリン汗腺とはかなり違った働きをしていると考えられています。

しかしながら、実際のところ、このアポクリン汗腺の働きは、まだはっきり分かっていないのが実情です。

ただ、ストレスや精神的な緊張だけでなく、性的な興奮などでも発汗することや、汗腺が限られた部分だけに分布していることから、フェロモン分泌管としての働きがあるのではないか?と推測されています。

皮脂腺

アポクリン汗腺と同様、毛穴に開口して脂肪分を分泌する器官です。

ここから分泌された脂肪はエクリン汗と混ざり合い、皮膚表面に薄い膜をつくり、肌を保護する役割を持っています。

皮脂の分泌量が多すぎると、肌がベタつきオイリー肌となりニキビの原因に、少なすぎると肌が乾燥しドライ肌に。女性の肌トラブルにこの皮脂腺が深く関係しています。

腋臭はこれら3つの汗腺が微妙に関係し合っています。

その中心になるのがアポクリン汗。

本来、アポクリン汗にもニオイはありません。

しかし、そこに含まれる脂肪分やタンパク質が、皮膚にある細菌によって分解されると、強い腐敗臭を発するようになります。

これに、皮脂腺からの皮脂が加わり、さらにニオイが強まります。

そして、この「ニオイの元」がエクリン汗によって、脇全体に広げられ、ワキ毛にからまることで、ニオイが発散されます。これがワキガ臭の正体です。

汗腺類からの分泌物と皮膚表面に住み着く細菌。

これらが揃ってはじめて、腋臭のニオイを発するのです。

腋臭は高い確率で遺伝します

「腋臭は体質である」という観点からも、「腋臭は遺伝するのかどうか?」という点が非常に気になるところでしょう。ご両親がワキガ体質をお持ちの方、または自分がそうなので子どもにも遺伝するのではと心配されている方も多いかと思います。

結論から言うと、腋臭は優位性遺伝なので、両親ともワキガ体質の場合は80%、両親のうちどちらか片親だけなら50%の確立で遺伝します。

もちろん理論上の数字なので、両親ともワキガ体質でも子どもに受け継がれない場合もありますし、逆に両親とも違うのに、子どもにあらわれるということもあります。

これは「腋臭・多汗症」の症状が、食生活や生活習慣、ストレスなどの生活環境に大きく関係しているからなのです。

また、腋臭の原因になるアポクリン汗腺は性ホルモンの影響を強く受けますから、幼少期ではまだ活動を始めません。

ですから、ワキガ体質が遺伝してたとしても、実際にワキガ臭を発生するかどうかは、小学生から思春期ぐらいにならないと判断がしにくいようです。

お子さんをお持ちで「もしかしたら自分のワキガ体質が遺伝してるのでは?」と心配でしたら、耳垢を調べてみてください。

いつもじっとりと湿っているような耳垢ならばワキガ体質である可能性が高いといえます。

ワキガ臭の原因となるアポクリン汗腺は、脇や陰部だけでなく耳の中にもあります。

そして耳の中は年令に関係なく活動しているので、低年齢でも判断することができるのです。

「腋臭・多汗症」の悩みは人には相談しにくいものです。

それは親しい間柄、たとえ親子であっても同じことです。

ニオイの悩みは、人知れず苦しんでしまうことが多いだけに、お子さんをお持ちの方は特に注意をしてあげてください。

腋臭は汗で広がります

「私は汗っかきだから腋臭になったのでしょうか?」と思う方もいるとおもいますが基本的に大量に汗をかくから腋臭になるのではありません。

汗をかいても、それが体温調節をもくてきとしたエクリン汗であればワキガ臭は発生しません。

ワキガ臭を発生するポイントはアポクリン汗です。

皮膚についたアポクリン汗が常在菌と結びつき起こる腐敗臭が腋臭の主な原因になるのです。

しかし、大量のエクリン汗はアポクリン汗を広範囲に広げてしまいます

アポクリン汗が皮膚の広範囲に付着すれば、それだけニオイの元も拡がり強くなりますから、汗をかきやすい人は、そうでない人よりも「ワキガ臭を発散させやすい」ということは言えます。

ですからワキガ体質の方でも汗をかいていない時はさほど臭わないのに、汗をかいた途端にワキガ臭を強く発生するという方も結構多いのです。

多量の汗そのものは腋臭の直接的な原因ではありませんがワキガ臭を助長するものであることは間違いないようです。

ストレスがニオイを強くします

私たちは様々なストレスに晒されています。

日常的にストレス状態が続くと、その影響が体調に現れることがあります。

位の痛みや食欲不振、逆に過食になったり、肌荒れや髪の痛みなどの美容面に影響することおあります。

そんな精神的・肉体的なストレスは実はニオイとも密接な関係にあります。

私たちの体は強いストレスを感じると体内のホルモンバランスを崩すことがあり、これが大衆に影響をもたらすことがあるのです。

ワキガ臭の原因となるアポクリン汗腺は性的興奮や緊張によって多くの汗を分泌することが分かっています。

ストレスで体内ホルモンのバランスが乱されると結果的に発汗が促されてニオイが強くなることもあるのです。

毛深い人は腋臭になりやすい?

ワキガ臭のもとになるアポクリン汗腺や皮脂腺は体毛の根毛部に開口しています。

ですから体毛の多い人は普通の人と比べて汗腺類が多く、それだけアポクリン汗の分泌量が多くなります。

また、体毛が濃いと汗腺類からの分泌物が皮膚に長く溜まりやすいため、それだけ細菌が繁殖しやすく、結果、ワキガ臭に拍車をかけることになるのです。

更に男性の場合、毛深い人=男性ホルモンの働きが強く旺盛だと考えられアポクリン汗腺は性ホルモンの影響を強く受けるわけですから、やはり腋臭になりやすいと言えます。

もちろん全ての毛深い人が腋臭になるわけではありません。

食生活にもワキガ臭を強くする原因が!?

「腋臭・多汗症」を助長する食品で筆頭に上がるのが肉類です。

肉類には動物性脂肪、脂肪酸、中性脂肪などがたっぷり含まれています。

これらの脂肪成分を摂ると、汗腺類が活発に刺激され、結果として汗やニオイを強くします。

次に注意したいのが乳製品です。チーズやバター、生クリームなどを多用したケーキやデザート類も汗腺類を活性化します。

もちろん、お肉や乳製品は大切なタンパク源で筋肉の維持や美肌効果には欠かせない食品です。

ただし、食べ過ぎは要注意です。ステーキや焼き肉などの肉料理やケーキ類の大量摂取は厳禁です。

更に注意したいのが揚げ物や香辛料を使ったスパイシーな料理です。

特にファーストフードやコンビニなどの出来合いのお惣菜は、油の劣化を防ぐために脂肪酸を多く含んだ脂が使われることが多いようです。

また、唐辛子をはじめとする更新料は発汗作用を促進し、これらを日常的に食べ続けていると、ますます「腋臭・多汗症」を助長します。

一方、逆に緑黄色野菜に含まれるビタミンAや胚芽・ゴマに含まれるビタミンEなどは皮膚の新陳代謝を促進して、ワキガ臭のもとになる過酸化脂肪の発生を抑えるとされているので積極的に摂取したい栄養素といえます。