非定型抗酸菌症の原因と症状

非定型抗酸菌症とは

非定型抗酸菌症(Nontuberculous Mycobacterial Infections、NTM症)は、抗酸菌と呼ばれる微生物の一種である非結核性抗酸菌(Nontuberculous Mycobacteria、NTM)が原因の感染症です。NTMは、土壌や水中など自然界に広く存在しており、一般的には健康な人には病気を引き起こしませんが、免疫力が低下している人や、慢性呼吸器疾患を持つ人、または健康な肺を持つ人でも感染症を引き起こすことがあります。

NTM症は、肺炎や気管支拡張症、リンパ節炎、皮膚感染症、骨髄炎など、さまざまな症状を引き起こすことがあります。治療は抗生物質療法が主体であり、病原体の種類や感受性によって、複数の抗生物質を組み合わせて投与されることがあります。しかし、治療期間が長期化することが多く、副作用もあるため、治療が難しい病気とされています。

非定型抗酸菌症の症状

非定型抗酸菌症(NTM症)の症状は、感染部位によって異なります。主に肺感染症として現れる場合の症状は、以下のようなものがあります。
  • 慢性的な咳や痰の発生
  • 疲れや息切れ、胸痛
  • 発熱や寒気、体重減少
  • 血痰や咳血

NTM症は、肺以外の部位でも感染を引き起こすことがあり、その場合の症状は以下のようなものがあります。

  • 皮膚感染症:炎症、腫れ、赤み、発疹、かゆみ
  • 水虫感染症:腫れ、炎症、痛み、かゆみ、潰瘍
  • 骨髄炎:痛み、腫れ、赤み、熱感、関節の動きに制限がある
  • リンパ節炎:腫れ、痛み、赤み、熱感

NTM症は、症状が長期間続くことが多く、慢性的な病気とされています。症状が現れた場合は、早期に医師の診断を受け、治療を行うことが重要です。

非定型抗酸菌症の原因

非定型抗酸菌症(NTM症)の原因は、非結核性抗酸菌(Nontuberculous Mycobacteria、NTM)と呼ばれる微生物の一種による感染です。NTMは、自然界に広く分布しており、土壌、水、動物、鳥などから検出されます。

NTM症の発症には、以下の要因が関与していると考えられています。

  1. 免疫力の低下:免疫力が低下している人は、感染しやすくなります。例えば、HIV感染者、臓器移植後の人、がん治療を受けている人などは、NTM症に感染するリスクが高くなります。
  2. 慢性呼吸器疾患:気管支拡張症、肺気腫、気管支喘息、シスチック線維症などの慢性呼吸器疾患を持つ人は、気道の状態が悪くなることで、NTM症に感染しやすくなります。
  3. 呼吸器の損傷:呼吸器に損傷がある場合、細菌やウイルスに感染するリスクが高まります。例えば、気管支鏡検査や気管切開、人工呼吸器などの治療を受けた人は、NTM症に感染するリスクが高くなります。
  4. 環境因子:NTMは、水や土壌など自然界に広く存在しており、風邪やインフルエンザなどの感染症と同様に、空気中を通じて感染することがあります。例えば、シャワーの水や温泉、スイミングプールなどで感染することがあるとされています。

NTM症の原因には複数の要因が絡み合っているため、予防法は特にありませんが、感染症にかかるリスクを減らすために、手洗いやマスクの着用、健康的な食生活、運動などの健康管理が大切です。

非定型抗酸菌症の治療法

非定型抗酸菌症(NTM症)の治療法は、病原菌の種類、感染部位、感染の重症度などによって異なります。NTM症は、一般的に抗生物質による治療が行われますが、治療期間は長期になる場合があります。

以下に、NTM症の治療法について詳しく説明します。

  1. 抗生物質療法:NTM症には、複数の抗生物質を併用することが一般的です。治療期間は6ヶ月以上から数年にわたることがあります。抗生物質には、クラリスロマイシン、アジスロマイシン、リファンピシンなどが用いられます。
  2. 手術療法:薬物療法に反応しない場合、感染部位の摘出や形成外科的手術が必要になることがあります。肺の場合は、肺切除や肺移植が行われることがあります。
  3. 支援療法:NTM症は、呼吸器疾患を伴うことが多いため、酸素療法や呼吸器トレーニングが必要になることがあります。

NTM症は、治療期間が長く、再発のリスクが高いため、正確な診断と早期治療が重要です。また、抗生物質の副作用に注意し、適切な治療を行うことが必要です。

非定型抗酸菌症の予防法

非定型抗酸菌症(NTM症)の予防法は、感染を引き起こす病原菌の存在を減らすことが重要です。以下に、NTM症の予防法について詳しく説明します。
  1. 感染源を避ける:NTM症の多くの原因菌は、土壌、自然水、ホコリ、建設現場などに存在するため、これらの場所から遠ざかることが必要です。特に、空気清浄器の清掃や換気扇のフィルターの清掃など、家庭内の清潔にも注意が必要です。
  2. 感染予防:外出先から帰った際には、手洗いやうがいをしっかり行うことが重要です。また、マスクの着用や、公共交通機関の利用時の感染予防対策も行うことが必要です。
  3. 免疫力の向上:免疫力の低下がNTM症の発症リスクを高めるため、バランスの良い食生活や適度な運動など、免疫力を向上させる生活習慣を心がけることが大切です。

NTM症は、健康な人でも感染することがありますが、予防法を実践することで感染リスクを減らすことができます。また、高齢者や免疫力の低下した人、慢性肺疾患を持つ人などは、感染に注意する必要があります。