腎臓の機能を少しでも長く保つ為には食事の摂り方がとても重要になります。特に、タンパク質や塩分の取りすぎには十分に注意し摂取量に配慮することが大切です。医師の指示を受けている場合は摂取量や摂取方法を守り長期間続けられるように工夫しましょう。
タンパク質を摂り過ぎないための工夫
タンパク質は決められた量で
タンパク質は、からだを構成している細胞の重要な成分で欠かせない栄養素ですが、使われた後に老廃物が発生します。この老廃物を取り除く役目を果たしているのが腎臓です。腎臓の機能が低下すると、腎臓に負担をかけないようにタンパク質の摂取量を制限する必要があります。
- 決められた量を必ず守る
- 良質のタンパク質が多く含まれている食品を選ぶ(肉や魚、卵、大豆製品など)
- 適正量のエネルギーを摂取する
- タンパク質の制限が難しい場合は治療用特殊食品を活用する
減塩のための工夫
調味料を控え目にして汁物は1日1杯を心がける
高血圧やむくみを予防するためには塩分の制限が重要になります。調理する際に塩分を控えるのはもちろんですが、食卓でかけたり、つけたりする醤油やソース類もなるべく減らしましょう。麺類などは汁を残し1日1杯までにしましょう。
減塩のポイント
- 調理時は塩分が多い調味料は極力使わない
- 食卓にできるだけ醤油やソースを置かない
- 麺類は汁を残す
- 汁物は1日1杯まで
- 加工食品はできるだけ控える
酸味、旨味、香りを活用し風味のある食事に
肉や魚介、きのこ類、野菜など、旨味の出る食材を組み合わせたり、お酢やレモンなどの酸味を加える、香辛料や香味野菜の香りを利用するなど、薄味でも風味のある調理をすることで満足感を高めることができます。
風味を足すヒント
- 酸味は、酢・レモン・ゆずなどを活用
- 旨味は、肉・魚・きのこ・野菜を組み合わせる
- 香りは、しそ・生姜・ねぎ・にんにく・ハーブなどを活用
- 辛みは、カレー粉・唐辛子・柚子胡椒などを活用
物足りない場合は味にメリハリを
すべての料理で塩分制限をしてしまうと、食事そのものに味気がなくなってしまいます。そこで1食の中で通常の味付け、薄味、塩分ゼロと、献立ごとにメリハリをつけるのもひとつの方法です。
カリウムを摂り過ぎないための工夫
血清カリウム値が高い場合は、医師からカリウムの摂取制限が出ることもあります。カリウムは野菜や果物、イモ類、豆類、海藻類、肉や魚に多く含まれているので過剰に摂取しないように注意しましょう。食べる前に茹でたり流水に晒すことでカリウムを減らすこともできます。
カリウムを多く含む食品
- 野菜、イモ類
- 海藻類(特に昆布の佃煮)
- 豆類
- 果物(特にアボカド、バナナ)
- 果汁や野菜100%のジュース
- ドライフルーツ(干し柿、レーズンなど)
- ピーナッツやアーモンド
※キャベツ、玉ねぎ、人参はカリウムが少ない食材です。
腎臓病の食事Q&A
- 白米のタンパク質を気にしないで食べる方法はありますか?
- タンパク質制限が難しい場合は、白米などの主食に治療用特殊食品を利用すると良いでしょう。タンパク質調整ごはんは、エネルギー量は普通のごはんと同じくらいですが、タンパク質やカリウムの量が軽減されています。ちなみに、通常は茶碗1杯(150グラム)のごはんに約4グラムのタンパク質が含まれているのに対して、タンパク質調整ごはんは通常の5分の1程度です。ごはん以外にもパンや麺などの治療用特殊食品もあります。
- タンパク質制限で食べる量が減るのが心配です
- タンパク質を制限すると、どうしても全体のエネルギー量が減りやすくなります。エネルギー不足になると逆に腎臓に負担がかかったり、体力が落ちたりするので気をつける必要があります。間食をうまく活用したり、日常の調整では「炒める」「揚げる」など油を適度に取り入れてエネルギーアップを図りましょう。砂糖や蜂蜜などにお甘みをドレッシングやタレなどに加えるのも工夫のひとつです。