フニャフニャやわらか血管が老化を防ぐ

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血管病が要介護の55%を占める

「人間は血管とともに老いる」という有名な言葉があります。若々しく丈夫な血管を維持できれば、いつまでも元気でいられる。逆に、血管が老化すると、途端に病気がちになってしまう、という意味です。

実際に要介護になった人の割合を見ると、脳血管疾患が18.5%でトップです。しかも、血管の老化が関与している認知症、高齢による衰弱、心疾患、糖尿病を足すと、全体の55%になります。「認知症や糖尿病も血管病なの?」と、驚く人もいるかもしれませんが、どちらも血管が傷むことによって発症する生活習慣病と考えられます。

老化した血管はヒビ割れや詰まりを起こしやすくなる

では、問題です。次のうち、どの血管が「若々しくて丈夫な血管」でしょうか?

  1. 筋肉が厚くてがっしりとした血管
  2. 外皮が頑丈で破れにくい血管
  3. フニャフニャした血管

正解は3番です。若々しい血管は、まるで赤ちゃんの肌のようにしなやかで弾力があります。赤ちゃんの肌は指で押すと、プルンと押し返してきますね。あの弾力こそが若々しい血管のイメージです。

血管が老化すると、硬くなりしなやかさが失われます。そして、ヒビ割れや詰まりが起こりやすくなるのです。

老化した血管は硬化してガチガチ

血管の老化について、くわしくみていきましょう。

一本のホースを想像してください。新品のホースはゴムが柔らかく、指で挟んで力を入れると弾力があるのが分かります。このホースを蛇口につないで勢いよく水を出してみましょう。すると、水圧によって膨らみますね。

一方、何年も庭で使ったくたびれたホースはどうでしょうか。ゴムは硬化してガチガチです。途中の部分を持って曲げようものなら、すぐにヒビが入ってしまいます。このホースに蛇口から大量の水を流しても、ゴムは膨らまないはずです。

膨らまないゴムは水圧をまともに受けて破れてしまうかもしれません。

血流を送る力が弱いと体の隅々に血液が届かない

血管をゴムホースにたとえて説明しましたが、もちろん実際の血管はゴムホースとは違います。一番大きな違いは、血管自らが筋肉を持って収縮運動をしていることです。

心臓は力強く血液を送り出していますが、体の隅々に送るだけの力はありません。では、なぜ血液は足の指の先や脳にまで届くかというと、血管が血液を先へ先へと送っているからなのです。しなやかで柔らかい血管は膨らんで押し出す力が大きくなります。逆に老化して硬い血管は、収縮力が衰えています。

血液を送る力が弱くなると、血流が悪くなります。すると、血液に溶け込んだ栄養素を必要なところに届けることができなくなります。それが、さらに老化を招くのです。

切れたり詰まったりするのは、95%を占める毛細血管

人間の血管のシステムは閉鎖血管系と呼ばれ、心臓から送り出された血液が心臓に戻ってくるようにできています。酸素や栄養を全身に届けるのが動脈、老廃物や二酸化炭素を回収するのが静脈です。

心臓から出る大動脈は最も太く、直径が3センチもあります。大動脈は細かく枝分かれし、臓器や組織の中では毛細血管となって網の目状に広がっています。

太い動脈と静脈を幹線道路にたとえるとすると、毛細血管は住宅地を走る生活道路となります。栄養や酸素を届ける血液は、物資を配達するトラックと考えられます。きちんと整備された道路と調子のいいトラックが必要なのです。

なお、成人の血管をすべてつなぎ合わせると、約10万キロにもなります。これは地球を2周半する長さです。これだけの距離を移動するわけですから、ボロボロの血管では、とても役に立ちません。

10万キロの血管のうち、95%は毛細血管です。太い血管が健康ならよさそうな気がしますが、実は切れたり詰まったりしているのは毛細血管です。生活習慣病が進行すると、全身の毛細血管が次々と寸断されてトラブルが起こりやすくなるのです。

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