知らぬ間に進行する動脈硬化
血液には酸素や栄養素を体中に送り、老廃物の二酸化炭素を回収する働きがありあす。
血液を通る道が血管ですが、血管にも大動脈や小動脈、細動脈や毛細血管など太さや厚さの異なる様々な種類があります。
きれいな血液であれば、どんなに細い血管でもサラサラと流れますが、ドロドロになった血液の場合は当然ですが血液の流れは滞ります。
つまり体のすみずみまで酸素や栄養素が運ばれなくなってしまうということです。
更に問題となるのが、ドロドロ血液が長期間続くと血管そのものにも障害がでてしまうということです。
ドロドロ血液が血管の中を流れ続けると血管壁が傷つき、血管の内側が狭くなったり、血管壁が硬くなります。
この状態を動脈硬化といいます。
ドロドロ血液が原因となる動脈硬化は急増しており今後も増えていくと考えられています。
実は動脈硬化が死因のトップ?
日本人の死因の第一位は『がん』で全体の3割を占めており年々増加傾向にあります。
しかし、ここで注目すべきは死因の第二位と第三位。
二位の『脳血管疾患』と三位の『心疾患』は実は両方とも動脈硬化に起因する血管の病気なのです。
そして、この二つの死亡率の合計は一位のがんとほぼ同じ値になるのです。
自覚症状もないまま血液がドロドロの状態になり、知らない間に動脈硬化が進行し、ゆっくりと血管病になりつつあるというのが現代人の状況なのです。
動脈硬化による危険な病気を予防するためには、ドロドロ血液を放置せず、サラサラ血液に戻ることが何よりも重要になってきます。
人間は血管から老いる
血管は一般的に、物言わぬ臓器と表現されます。
血液がドロドロになって血管壁が痛めつけられていても目に見えるサインを出してくれません。
動脈硬化の進行を自覚するのは、大抵の場合に、心筋梗塞や脳梗塞を発症したときです。
心筋梗塞や脳梗塞は50〜60代に発症することが多く、殆どの患者は、その時点で発病したと思ってしまいますが、実際には10年〜20年前から原因となる動脈硬化が進行し、長い年月を経て血管が詰まりやすくなり脳梗塞や心筋梗塞を発症するのです。
若い世代にも起こる動脈硬化
動脈硬化は血管の老化現象とも言われますが、ここ数年で若者層にも広がりつつあります。
特に20代後半〜30代の人たちに、心臓の血管の動脈硬化による心筋梗塞や狭心症の症例が増えてきています。
もはや動脈硬化は加齢による宿命的な病気と断言できないのです。
血管年齢と実年齢
ここ最近よく耳にするのが『血管年齢』という言葉。
これは動脈硬化が老化現象ではないということを明らかにする新しい概念と検査項目なのです。
血管年齢は、その人の血管が自分の年齢に相応しているかどうかを知るための指標で、動脈硬化の進行度を測る物差しということもできます。
血管の老化予防
動脈硬化が若い世代に増えてきた背景にはライフスタイルの欧米化が指摘されています。
若者層の血管の老化には以下の要素が考えられます。
- 高エネルギー・高カロリーな食事
- 慢性的な運動不足
- 多様化する社会でのストレス
当然ですが、これら以外にも飲酒や喫煙など生活習慣の乱れが原因にもなるので、血管の老化を防止するにはライフスタイルを見直すことが重要になります。