4.親が子どもにかかわりながら育てましょう

子どもは、何もしなくても大人になれるわけではありません。

母親と密着し、お互いのリムズを同調させることによって、離れていても一体感を持つことができる信頼感(愛情)を形成します。このような愛着形成をすることによって、母親から距離的に離れることができるようになります。

生後10ヶ月ごろになると、母親はそばにいなくても、何かあればすぐそばにきてくれるという思いができあがります。そして、周囲を意識し始め、自分の要求を伝える指さし、ものまね動作、言葉が現れるようになります。

最初の言葉とは、動くものは「ぶーぶー」、食べているものは「まんま」、世話をしてくれる人は「まま」という概念と、ある音が結びついた段階。また、「おいで」「ちょうだい」「ねんね」の意味がわかるようになってきます。

次に、「興味の指さし」が始まります。興味のあるものが現れると、まわりにだれもいなくても対象を指すのです。「あ!飛行機!」のように。自閉症の子どもは、この指さしから行動が始まります。

そして、「要求の指さし」。自分が相手に何かしてほしいときに、相手の興味をあるものに向けるために指さしを行います。そのとき、言葉も一緒に出なければなりません。「そこの、おもちゃとって!」といった感じです。自閉症では、興味の指差しから始まることと要求の指さしで言葉が一緒に出ない、すなわちずれがあることが特徴です。

その次の段階は、「三項関係(共感の指さし)」です。例えば、二人が同じものを見ながら思いを共有する、ということです。親子で花火を見ながら一緒にきれいだなと思う、映画を一緒に見ていて同じ思いを描く、などの場合と同様です。

このように、子どもを育てるときは、何らかの形で親がかかわることが、成長・発達にはもっとも重要です。テレビやビデオを見せるときなどでも、勝手にひとりで見せるのではなく、親が一緒に見て言葉をかけたり感じたことを共有するといいでしょう。
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