4.安心できるのは「自分の世界」だけ

自閉症の人には、規則性を持って同じものを並べていくことに興味があり、こだわりともいわれる症状があります。

これらは、明らかな言葉が出ていない自閉症の人に多く、規則性あるいは何らかの記号などを作り上げている状態なのかもしれません。

彼らにとって、規則性は安心を生み出しているとも考えられます。裏返せば、変化は不安をもたらすということです。

自閉症の人は変化を嫌います。そして変化に弱いのです。

コミュニケーションの手段として、言葉を用いることのできる前の時期には、変化を強く嫌う世界にいるようです。動きがなくて、固定したイメージ(形)で組み立てられ、他の人のかかわりを拒否します。この状態のときは自閉性も強いと考えられます。

しかし、言葉を用いることができるようになると、頭の中で何らかの意味をもたせた世界で遊んでいることがあります(ファンタジーの世界)。言葉が出始めるようになると、自分の世界が、ある特定のアニメの世界やディズニーのおとぎ話の世界などととなり、決められたセリフもあります。

そして、そのファンタジーの世界の中には、必ず自分もいて、主人公として出てきます。決められたセリフ以外も認め、他の人の演出を認めるようになると、対人関係は驚くほど改善していくわけです。

そうした改善が見られると、自分だけの世界から、大多数の人が生きている現実の世界に出てきて、自閉症状は薄れてきます。

次は『壊れやすいこころを守ってあげましょう』