言葉がまだ出ないアスペルガー症候群の子どもの場合、物事を意味で認知してしまいます。
例えば、パズルを一回パッとひっくり返します。ひっくり返して、何の絵だったか、何の模様かわからないのに、元通りに並べることができるのです。
「パズルを入れる」ということは、ここで1回出したという事実があります。ですから、その形をビデオのように覚えていて逆回しをするわけです。この子は、毎回同じ順番でこのパズルを入れていくのです。
ところがこの子が、コミュニケーションの手段として、言葉を話すことができるようになると、絵を見てから組み立てるようになります。
それは、カレンダーの丸暗記ができなくなる時期と一致しています。
ある意味でいえば、できることができなくなったわけで「知的」に退行したともとれますが、意味を考えながら物事を行う力ができたからだ、と考えたほうがいいと思います。すなわち進歩したのです。