9.ADHDとPDDに認められる多動・衝動性の違い

落ち着きがない、あるいは多動といっても、さまざまな状態があります。

個性の範囲・発達の未熟性・環境要因・家庭環境、いわゆるアルコール依存する以前の両親と関係してのアダルトチルドレンやトラウマなどが考えらます。

衝動的に子どもに接する親や家庭環境から生じる虐待やトラウマにも関係しています。加えてNVLD(非言語性学習障害)、PDD(広汎性発達障害)なども多動の原因となります。

PDDは部分的な要素に反応し、視覚的(フラッシュバック的)な記憶に触発され、何らかの行動を起こしやすく、パターン化された感情(不安・恐怖・笑い)などにも過剰な反応を起こすことがあります。

PDDに認められる不注意とは、場面や場所の変化による意識の連続性の障害、短期記憶や記憶の保持による「注意の転換」の障害です。

また、自分の行動や意図を妨害されると混乱しやすく、癇癪を起こしたりパニック状態に陥ります。しかし、言葉の意味理解が進むと、状況判断ができて急に落ち着いてきます。

あるいは、身体知覚障害により、末梢部分の知覚がなかったり、行為の結果に意識が及ばなかったりと「注意」以前の認知の障害といえます。

自傷や他害などの衝動抑制障害などもあげられます。

ADHDの不注意というのは、言葉の意味理解ができたあとも続き、「注意の転換」や多動性に行動の衝動性が結びついた「注意の欠陥」による不注意症状です。

ADHDは、まわりの人に「注意」が向かないがための自己中心的な行動や、その場にそぐわない自分の「感情」をストレートに噴出させる行動をとります。

ADHDの多動・衝動とPDDのそれとは、違うことをご理解ください。

それから過集中があります。いわゆる「こだっわり」です。

ADHDではまったく集中できないのかというイメージで捉えられがちですが、自分の興味のあることには一直線なので、いつもそれが頭に入っているから、余分なものが入らないというわけです。

それも特にひとつ前のことが気になり、頭のなかに残っているのがADHD。あまり関係がないにも関わらず、頭の中にずっと引きずって残ってしまうのがPDDです。

簡単にいうと、例えば会議の席で、「はい、この議題はいいですね」というと「さっきの◯◯◯の件ですが・・・」というのがADHDに近い人。

このときにまったく違う話題を言い出す人は、PDDに近いと言えるかもしれません。

あくまでも自閉症スペクトラムで、社会の中で生きていられれば「障害」という必要がないので、それをどう診断付するかは別のことになります。

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