手術による治療

甲状腺を摘出する手術

手術は、薬物治療や放射性ヨード治療よりも古くからおこなわれている治療です。もっとも短期間に治療ができ、再発率も低い、というメリットがあります。ただし、若い人に限られます。

甲状腺のほとんどを取り除く手術

バセドウ病の手術は、甲状腺を切り取って小さくし、甲状腺ホルモンを作り過ぎないようにしようというものです。

甲状腺はホルモンをつくる大切な器官なので、全部摘出してしまうと、一生、甲状腺ホルモン薬で補わなければなりません。

しかし、残す部分が小さすぎると、甲状腺機能低下症になり、大きく残してしまうと、再発の可能性が高くなります。

一般的におこなわれているのは、甲状腺の中央部分を摘出し、両端の部分を合計4〜5グラム残す方法です。熟練した医師がするなら、80〜90%の人が薬を服用する必要がなくなります。

手術は約1時間、局所麻酔が多い

手術の所要時間は約1時間。麻酔は多くの場合、局所麻酔をおこないます。喉には声帯を動かす反回神経が通っていいて、手術中に傷つけていないかを確認するためにも、患者に意識のある局所麻酔のほうがよいんです。

首のシワに沿って横に切るので、傷跡はあまり目立ちません。

手術後には3つの合併症に注意

手術の合併症で心配なものに、声の変化があります。これは、手術中に声帯を動かす反回神経を傷つけることが原因です。

カルシウム低下も起こりますが、これは手術によって副甲状腺が血行不良になるためです。

また、それほど頻繁ではありませんが、どんな手術の場合でも術後出血が心配されます。

手術が向く人

  • 腫れが大きい人
  • 若い人
  • なるべく早く治したい人
  • 薬をやめられない人
  • 通院の時間がない人
  • 将来妊娠を望む人
  • 薬の副作用がある人

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