便秘の特徴

弛緩性便秘の特徴

便秘の中でもっとも多いタイプが弛緩性便秘です。

結腸の緊張が緩んで腸のぜん動運動が鈍くなり便を押し出す力が弱くなるため、腸内に便が溜まったままになります。

おなかが張っているのに出ない」という苦しい状態になるのが特徴で、便はやや硬くなることが多く見られます。

原因とされるのは加齢とともに内蔵が下に垂れ腸も緩みがちになることが挙げられます。

それにより、蠕動運動が活発に行われなくなって便をスムーズに送り出すことができず腸に便が溜まってしまうのです。また、腹筋が弱いことで排便する時に十分な腹圧をかけることができず、いきむ力が弱まってしまうのも弛緩性便秘の原因のひとつだと言われています。

そのため、腹筋力が少ない痩せ型の女性や運動不足の人もなりやすいタイプの便秘です。

弛緩性便秘を改善するには、運動を習慣にして結腸の動きを活発にすることが重要です。

直腸性便秘の特徴

最近増えているのがこのタイプで習慣性便秘とも呼ばれています

直腸まで便が下りてきているのに便意を感じられない状態が、直腸性便秘の特徴です。

通常、直腸まで便が送られると直腸の壁が刺激され脳に「排便したい」というサインが送られます。すると脳から「排便しなさい」という指令が出て私たちは便意を感じます。

しかし、日常的にいつも便意を我慢したり浣腸を繰り返し行なったりすることで、腸に便がたまっている状態を脳が感知しづらくなり、便意が起こりにくくなるのです。そして腸に残った便は水分を吸収されて硬くなり、どんどん出しにくくなるため、悪循環に陥ります。

このタイプは朝、便意の時間より身だしなみを整える時間を優先するなどの理由から若い女性に多いようです。

改善するには排便リズムを整え、便意をキャッチしたら必ずトイレに行くようにすることが大切です。そのためには生活リズムや1日の過ごし方などを見直す必要があります。

痙攣性便秘の特徴

ストレスがたまると自律神経が乱れます。自律神経が腸の動きをコントロールしているので、これが乱れると腸のぜん動運動が強くなって激しい収縮が起こり、腸が痙攣したような状態となります。

すると、便をうまく送り出せなくなって腸内に便が停滞し、便秘になってしまいます。

痙攣性便秘は食後に下腹部が痛くなるのが特徴です。腸の収縮が激しくなり、長い間腸内に便が溜まっているため、便は細く短くなり、うさぎの糞のようなコロコロの状態になり、排便後にまだ便が残っているように感じます。

なお、痙攣性便秘と下痢を繰り返す場合は「過敏性腸症候群」という病気の可能性が高く、最近、若い人でかかるケースが増えています。

痙攣性便秘の改善には、原因となるストレスや疲労の解消が不可欠。ゆっくりと入浴したり、趣味の時間をつくったりと自分に合った方法でリラックスしましょう。

症候性便秘の特徴

症候性便秘は主に腸内の便が通過する部分に病気がある場合と、腸の外にできた腫瘍が腸を圧迫して、排便を妨げられることで起こります。

腸ねん転や腸閉塞など急性の病気が原因の場合は急性便秘、大腸がん、大腸ポリープ、膵臓や肝臓、子宮などの病気が原因の場合は、慢性便秘が起こると考えられます。

原因になっている病気を治さなければ、症候性便秘は治りません。気になる場合は病院を受診して病気を特定し、治療に専念しましょう。

一過性単純性便秘の特徴

一過性単純性便秘は旅行などで排便環境が変わった、食事内容や生活が変化した、一時的にストレスを受けたときなどに起こります。急に起こるのが特徴ですが、原因が取り除かれ通常の排便環境に戻れば治ります

なお、一時的なストレスなら一過性単純性便秘で済みますが、ストレスが蓄積されると、痙攣性便秘へと移行する可能性があります。ストレスを感じたときは、まめにリラックスを心がけましょう。

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