そのほかの精神療法

内観療法

人生を振り返り、自分を大切にする心を取りもどす

内観療法では、過去を振り返り、自分が周りのためにしてあげたことや、周りからしてもらったことを思い出します。他人への感謝の気持や自己肯定の気持ちを取り戻すことで、抑うつ気分の改善を目指します。

病院などの施設で、1週間ほど集中的に行わられる場合と、日常生活のなかで、自分一人で行っていく方法があります。

ただし、重症のうつ病の場合には、自殺願望を高めてしまうことがあるため、行われません。

精神分析療法

無意識のなかにうつ病の原因が眠っていると考える

人の心はすべて意識できるわけではなく、ふだん意識している心の奥底には、意識することのない「無意識」という領域があります。日常の行動や思考は、すべて意識しているわけではなく、無意識に左右されることも大きいといわれています。

「精神分析療法」では、無意識の領域に閉じ込められた、幼児期の心理的体験などが心の病の要因になっていると考え、眠っていた体験を呼び起こして分析します。心に潜む問題点を解決することで、深い葛藤から開放します。

精神分析療法は、オーストリアの医師のフロイトが編み出した、たいへん有名な方法ですが、うつ病への効果には疑問を呈する声もあります。

家族療法

医師と患者さんの家族で話し合いの場を設ける

患者さんと最も密接な人間関係をもつのは、家族です。

家族は、親と子、夫婦といった関係性から成り立つ、小さな社会システムといえます。このシステムに生じたゆがみが、さまざまな心の症状を生むことがあります。

そこで、心の病気を個人の問題として捉えるのではなく、家族全員を治療の対象にするのが、「家族療法」です。

医師のもとに、患者さんを含めて家族全員が集まって話し合い、問題点を探ります。その場合、直接の要因探しや犯人捜しではなく、親と子、夫と妻としての、家族関係のゆがみを見つけ、お互いに理解を深めることを目的とします。

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