認知行動療法

考え方の偏りを直す「認知行動療法」

物事に対する受け止め方を、ストレスのかかりにくい考え方に修正します。回復後も続けることで、再発予防につながります。

まずは、できごとに対する自分の考え方の癖に気付く

たとえば、上司に叱られても「いつものカミナリだな」と軽く受け流す人もいれば、毎回深く落ち込んでしまう人もいます。同じできごとでも、それについての考え方や感情は、人によってそれぞれ違います。

物事の捉え方や見方のことを「認知」といいます。うつ病の患者さんは、物事を否定的に捉えやすい傾向があります。そのため、気分が落ち込みやすく、「自分はだめな人間だ」と、自己否定してしまいがちです。

また、「100点満点のできでなければ失敗だ」「これから先もいいことは何ひとつない」といった極端な考え方をしてしまいます。

このような自分の考え方の癖や偏りに気付き、できるだけストレスを受けにくい、バランスのよい考え方に修正していこうとするのが、「認知行動療法」です。

落ち込んだ理由や、別の考えがないかを検証する

認知行動療法では、落ち込むようなできごとたあったら、なぜそのような気分になったのかを思い起こします。このような、あるできごとを受けて、瞬間的に浮かんでくる考えを「自動思考」といいます。たとえば、友人にあいさつをしたのに、返事がなかったという状況でも、「聞こえなかったんだ」と受け流せる人と、「自分は嫌われているんだ」と考えてしまう人がいます。うつ病の人は、後者の考え方になってしまっている場合が多いのです。

自分の自動思考に気付いたら、それとは別の考え方ができないかを検証していきます。これを繰り返していくことで、柔軟な考え方ができるようになってきます。

自分で行う方法と医師のもとで行う方法がある

認知行動療法は、医師などの専門家のもとで行うのが一般的ですが、自分自身で行うこともできます。

医師のもとで行う方法

医師や民間のカウンセリングルームなどに通い、面接をくり返しながら、認知の偏りを修正していきます。面接は1〜2週間に1回程度なので、自宅で行う課題を出されることもあります。医師のもとで受ける場合には、健康保険が適用されます。

自分で行う方法

市販の認知行動療法の自助本やインターネットを活用するほうほうなどがあります。

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