その他の薬について

うつ病に使われるそのほかの薬

抗うつ薬や気分安定薬以外にも、患者さんの症状に合わせて、さまざまな薬を使うことがあります。

強い不安や不眠がある場合は、その症状を和らげる薬をのむ

強い不安感を抱いて、心身が緊張していたり、イライラ感や焦燥感の強い患者さんには、「抗不安薬」が使われることがあります。

抗不安薬は、脳内の「GABA」という神経伝達物質に作用して、脳の興奮を抑えます。

抗不安薬でよく使われるのは、「ベンゾジアゼピン系」と呼ばれるタイプの薬です。気持ちを落ち着かせて眠気を誘う作用があるので、不眠のある患者さんに睡眠薬としても使われます。ただ、抗不安薬は、うつ病自体を改善する効果はないため、抗うつ薬と併用するのが普通です。

幻覚が現れている場合などに、抗精神病薬が使われる

重症の患者さんのなかには、まれに厳格や幻聴が現れることがあります。実際には見えないものが見えたり、聞こえない声が聞こえたりします。また、強く興奮してしまうこともあります。

このような症状があった場合には、「抗精神病薬」を用いることがあります。この薬は、神経伝達物質のドーパミンの働きを抑えて、強い興奮を鎮めます。

また、自殺するリスクが高い場合には、はじめから抗精神病薬が使われることもありますが、多くの場合、抗うつ薬と併用されます。

甲状腺ホルモンの併用が有効なこともある

「甲状腺ホルモン」は、たんぱく質や炭水化物などの栄養素がエネルギーになるのを促すホルモンですが、脳での神経伝達物質の作用にも、かかわっていると考えられています。難治性うつ病では、甲状腺ホルモンを併用すると、抗うつ薬の効果が高まることがあります。

そのほか「ドパミンアゴニスト」という、ドーパミンの作用を強める薬が使われることもあります。

ただし、両者は今のところ、うつ病の治療薬としては健康保険が適用されません。