糖尿病性神経障害
糖尿病の合併症の中で最も発症頻度の高いのが糖尿病性神経障害です。
中枢神経、末梢神経、自律神経のうち、糖尿病で侵されやすいのは末梢神経と自律神経です。
末梢神経障害
末梢神経は足先の感覚を保持しており歩行に欠かせない神経で触覚や痛覚などを感じる感覚機能を持っています。
ところが高血糖の状態が続くことで神経機能が正常に働かなくなり足先の感覚機能に衰えが生じます。
症状は、何かが軽く触れているような感覚になったり、針でチクチクと刺されるような感じなどがあります。
重症化するとライターであぶられているような激しい痛みになったり、逆に全く感覚がなくなりジンジンとしびれて何も感じないという場合もあります。
最悪の場合は足先の感覚が完全に麻痺し、細菌感染などで細胞が死ぬ壊疽を引き起こしてしまいます。
自律神経障害
自律神経に障害がでると胃腸の働きが低下し便秘になったり、性欲があるのに勃起しなくなったり、膀胱の収縮機能が低下し尿路感染を起こしたりします。
また、高血糖の状態が続くことで交感神経の働きが衰えるので立ち上がった際に血圧が急激にさがり頭に血液が流れにくくなり、頭がふらふらしたりめまいが起こります。
その他には皮膚の温度調節にも異常が起こり大量の汗が出るようになります。
とくに上半身や顔に汗をかきやすくなり、逆に下半身は汗が減って乾燥肌になります。
糖尿病性網膜症
糖尿病が発症して10年以内に約4人に1人が網膜に異常が発症します。
網膜症の発症を遅らせるにはヘモグロビンA1cを7%以下にします。
治療を怠ると最悪の場合、失明することがあります。
成人の失明原因の第2位が糖尿病性網膜症ですが、糖尿病が原因の緑内障で失明した数値を含めると1位になります。
糖尿病性腎症
糖尿病を15年以上放置していると機能障害の限界を超えてしまい腎不全という生命に関わる病気になります。
腎不全は糖尿病患者の死亡原因の約15%を占めます。
糖尿病性腎症の初期症状はたんぱく尿です。
糖尿病性腎症の初期症状では自覚症状はありませんがネフローゼになると足のむくみや全身にむくみが発症します。
病状が進行すると腎臓が機能しなくなり人工透析による治療が必要になります。