脂質とは

脂質の種類は3つ

脂質は水には溶けず、エーテルやクロロホルムなどの有機溶媒に溶けるという性質を持っています。

細胞膜や核酸、神経組織などの構成成分としても重要で、1グラムあたり9キロカロリーという高いエネルギーを生み出すので、効率の良いエネルギー源になります。また、脂溶性ビタミンの吸収を助けるはたらきもあります。

脂質は化学構造の特徴から下記の3つに分類されています。

単純脂質

代表的なものは中性脂肪です。中性脂肪は一般的に脂肪と呼ばれていますが、貯蔵脂質として皮下や腹腔などに貯蓄され、必要なときにエネルギー源として利用されます。

また、中性脂肪は熱伝導性が低いので体温の保持に約に立ったり、弾力性があるので細胞や内臓を保護する働きもあります。

複合脂質

複合脂質で代表的なものは、リン脂質と糖脂質です。これらの脂質はタンパク質と結合し、細胞膜を形成するなど体組織の構成成分として重要ですが、エネルギー源にはなりません。

誘導脂質

ステロール類があり、動物の体内に存在するステロール類の多くはコレステロールです。

脂質の過剰摂取は糖尿病やがんなどの生活習慣病に

脂質の過剰摂取はエネルギー過多となり、肥満を誘発します。総摂取エネルギーのうち脂肪エネルギー比率が30%を超える食習慣の場合、糖尿病や脂質異常症、動脈硬化などが起こりやすくなります。

また、脂質の高い食事を続けていると、大腸がんや乳がん、前立腺がんになりやすいこともわかっています。

脂質が不足すると脳出血の危険性が高くなる

脂質が不足すると、エネルギー不足に陥り、血管や細胞膜が弱くなり、脳出血の可能性が高くなります。

脂肪がつきにくい脂質

特定保健用食品の健康油は『体に脂肪がつきにくい』という謳い文句で宣伝されていますが、この健康油の主成分はジアシルグリセロールという油脂で、小腸での吸収が抑制されたり、吸収されても中性脂肪になりにくい性質があります。また、食後の中性脂肪の上昇を抑え、皮下脂肪になりにくいと言われています。

おもな脂質の種類

分類 種類 特徴
単純脂質 中性脂肪 エネルギー源として生体の脂肪組織の中にある。食品中の脂肪の大部分を占める。
複合脂質 リン脂質
糖脂質
細胞膜を構成し、物質の透過を調節。脳・神経組織に広く分布している。
誘導脂質 ステロール 細胞膜の構成成分などとして、体内に多く分布している。

脂質のまとめ

生理作用 エネルギー源、細胞膜の構成成分、体温の保持、衝撃への保護など
供給源 油脂、肉、魚、種実など
とり過ぎた場合 肥満、脂質異常症、動脈硬化、糖尿病、がんなど
不足した場合 脳出血、短命
1日の摂取基準 総エネルギーに占める脂質エネルギー20~25%未満