アミノ酸

アミノ酸の特徴

アミノ酸は、それ自体が体内で重要な働きをするのですが、食品タンパク質の栄養価を決定づける重要な栄養素です。

自然界には実に数百種類のアミノ酸が存在しているのですが、その中でもタンパク質の構成成分になるアミノ酸はたったの2割だけなんです(グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、リジン、アルギニン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチジン、トリプトファン、プロリン)。

アミノ酸は私たちの体内で重要な働きをしてくれるのですが、アミノ酸そのものが、必要に応じてエネルギー源になる場合もあるのですが、特定のアミノ酸ばかりを偏って摂取すると、免疫力の低下や体重減少、肝機能障害などを招くといわれているので注意しましょう。

体内では合成できない9種類のアミノ酸とは

アミノ酸のなかでも、体内で必要な量を合成できない9種類(成人の場合は8種類)は必須アミノ酸と呼ばれており、食事から摂取しなければなりません。食品中に必須アミノ酸がひとつでも不足しているとタンパク質の栄養価値が下がってしまいます。

タンパク質の質はアミノ酸のバランスで決まる

アミノ酸スコアは、タンパク質の質を評価する指標なのですが、理想のアミノ酸組成に対して、それぞれの食品に含まれる必須アミノ酸の充足度を表したものです。この数値が100以下のものを制限アミノ酸と呼び、最も低いものは第一制限アミノ酸と呼ばれています。アミノ酸全体の働きは、最も低いアミノ酸のレベルに制限されます。

おもな食品のアミノ酸スコア

食品 アミノ酸スコア 第一制限アミノ酸
精白米 65 リジン
小麦粉 44 リジン
大豆 86
鶏卵 100
牛乳 100
牛肉(サーロイン) 100
豚肉(ロース) 100
鶏肉(胸肉) 100
アジ 100
サケ 100
アサリ 81 バリン
タコ 71 バリン
ピーマン 68 ロイシン
じゃがいも 68 ロイシン

一般にタンパク質の源となる肉・魚・卵・大豆・乳類はアミノ酸スコアは良好です。穀類はリジンが不足していますが、リジンが豊富な動物性食品を一緒に摂取することで必須アミノ酸のバランスが改善され、栄養価が高まります。

おもなアミノ酸の種類と働き

種類 働き 多く含む食品
必須アミノ酸 イソロイシン 成長促進、神経機能や肝機能を高める筋力強化 仔牛肉、鶏肉、サケ、牛乳、プロセスチーズ
ロイシン 肝機能を高める、筋力強化 牛肉、レバー、ハム、牛乳、プロセスチーズ
リジン 体組織の修復に関与、ブドウ糖の代謝の促進 魚介類、肉類、レバー、卵、牛乳、大豆製品
メチオニン 抑うつ症状を改善、ヒスタミンの血中濃度を下げる 牛乳、牛肉、レバー、全粒小麦
フェニルアラニン 鎮痛作用、抗うつ効果 肉類、魚介類、卵、大豆製品、チーズ、アーモンド、落花生
スレオニン 脂肪肝を予防する、成長促進 卵、スキムミルク、ゼラチン
トリプトファン 精神安定、鎮痛・催眠効果、抑うつ症状を緩和 牛乳、チーズ、大豆製品、種実、バナナ
バリン 成長促進、筋肉・肝機能を高める 仔牛肉、レバー、プロセスチーズ
ヒスチジン 子供の成長に必須、神経機能をサポート 仔牛肉、鶏肉、ハム、チェダーチーズ
アルギニン 免疫力を高める、筋肉を強化、子供にとっては必須アミノ酸 仔牛肉、鶏肉、牛乳、エビ、大豆、種実、玄米、全粒粉
アスパラギン酸 新陳代謝を高める、疲労を回復、スタミナを増強 豆類、大豆もやし、アスパラガス、肉類