7) 痛風発作はなぜ起きるのか

溶け切らない尿酸の結晶を体は異物と認識する


尿酸はとても水に溶けにくい物質です。このため、体内の尿酸がある一定以上になると、結晶や結石になりやすいのです。

尿酸値が7.0mg/dl以上で高尿酸血症と診断されますが、これが8.5mg/dlを越えるといつ発作が起きてもおかしくない状態となります。

体内の血液や組織にある溶けきれない尿酸は結晶化して、尿酸ナトリウムとなります。この結晶は、松葉のような細長い針状でキラキラと光っています。

そして、この結晶は、体内で異物と認識され、白血球が排除しようと集まってきます。

白血球を主体とする炎症細胞はもともと体に有害な最近やウイルスを異物と認識して、それをやっつけようとして戦い、体の安全を図る働きをしています。

白血球は尿酸の結晶に攻撃をしかけ食べてしまいます。これを貪食といいます。このとき白血球が放出する活性酸素やプロスタグランジンが毛細血管を拡張させ、赤みや腫れ、激しい痛みを伴う炎症を引き起こすのです。関節が炎症を起こしているので、関節炎の一種であるわけです。

ところが尿酸は生物ではないので、どんな攻撃をされても反応しません。やがて白血球は力尽きて自滅してしまいます。

どこに尿酸の結晶は溜まりやすいのか

尿酸ナトリウム結晶は体中どこにでも溜まりますが、特に溜まりやすい部位が足の親指の付け根の関節というわけです。この部位が痛風の炎症の70%を占めます。その他に、かかと、膝、足の甲、アキレス腱、膝関節などに発症することもあります。

尿酸血症が溜まりやすい部位には以下の特徴があります。

  • タンパク質が少ない部位
  • 酸性の度合いが高い部位
  • よく動かしたり、負担がかかりやすい部位
  • 温度が低い部位

こうした条件に合致している部位である関節には痛風の発作が起き、耳たぶには痛風結節ができ、腎臓から尿管にかけては、尿路結石ができることになります。

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