4) 尿路管理

尿の酸性度が高い場合は弱酸性にする薬を服用する


尿路結石になると、仙痛という激しい腹痛と尿路の症状が出ます。結石が腎臓から尿管を経て膀胱に落ちていく過程で、尿管の細いところで詰まるので臓器を傷つけたり痛みを生じさせ、時には腰や背中が痛むこともあります。

1日に排泄する尿の中の尿酸値が1000mgを超える人は50%700mg以上の人には35%の確率で尿路結石があります。

血液の尿酸値が7.1mg/dlを越えると尿路結石の発症率は上昇し、8.0mg/dlになると62%の人に尿路結石を合併するという報告もあります。

このため尿をpH6.0〜7.0の弱酸性に保ち、1日の尿量を2000cc以上にする尿路管理が必要になります。

かつて尿路管理は、尿酸降下療法に付随した療法とされていましたが、最近は、確立した治療法として重視されるようになりました。

もともと尿酸は水に溶けにくい物質ですが、尿が酸性に傾くと尿酸はますます溶けにくくなります。しかも痛風の患者さんは肉食やアルコールを好む人が多く尿が健康な人よりも酸性に傾きやすい傾向があります。

このため、尿を弱酸性に傾ける薬物療法と積極的にアルカリ性食品を摂る食事療法を行います。

クエン酸カリウム・ナトリウム配合剤〜酸性になった尿を弱酸性に戻す

朝一番に採取した尿のpHが6.0未満の人は尿アルカリ剤を服用します。アルカリ化剤といっても実際に尿をアルカリにするわけではなく、尿のpHを少しアルカリ方向に移動させる、酸性尿を弱酸性尿にする薬です。

この薬で体内はアルカリ性に傾きます。体内は本来の弱アルカリ性に戻そうと、重炭素イオンを排泄する力が働いて結果的に尿がアルカリに傾くわけです。ただし、効いている時間は長くないので、1日に3〜4回にわけて飲んだほうがいいでしょう。

尿酸排泄促進薬によって尿酸値を低くする治療を行っている人も、尿中の尿酸が増加しているので結石ができやすくなるため、同様にクエン酸カリウム剤などを服用します。

この薬を服用する際は2つの点に注意する必要があります。ひとつは薬剤にカリウムを含んでいるため、高カリウム血症になる可能性があること。もう一つは尿が過度にアルカリに傾く可能性があることです。そうすると尿中に含まれているリン酸カルシウムが結晶化し、今後はこれによる尿路結石ができてしまうことがあるからです。あくまで尿をpH6.0〜7.0の弱酸性の範囲にコントロールしなければなりません。

たっぷり水分を摂って1日2000ccの尿量を確保する

尿の中の尿酸を薄めて結石をできにくくするために水分をできるだけ多く摂って尿量を多くします。

普通、健康な人で1日の尿量は1000〜1500ccです。これを2000ccまでにするように水分を摂取します。2000ccの尿量はトイレに行く回数に換算すると1日に6〜8回くらいの量になります。

ただし、尿が増えるからといってビールを飲んでは何もなりません。糖分の多いジュースも肥満のもとになります。水やお茶、麦茶などで水分を補給しましょう。

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