尿酸の80%は尿とともに排泄される
尿酸はヒトが生命活動を続ける限り絶えず作られているものです。そしてヒトは尿酸を分解できませんから、これを主に尿とともに排泄します。腎臓から尿中に排泄されるのが全体の80%で、残りの20%は、消化管に排泄されたり、汗とともに排泄されます。
尿酸の産生と排泄のバランスが取れていれば、高尿酸血症は起きません。ところが何らかの原因でバランスが崩れ、尿酸が過剰に体内に溜まってしまうことになります。
健康な成人で、尿酸は体内に約1200mg蓄積されています。これを尿酸プールといいます。尿酸は1日に700mg作られ、それと同じ量が排泄されます。
尿酸が過剰に作られたり、排泄がうまくいかなくなると、尿酸プールは溢れんばかりとなります。1500mgを越えると血液の尿酸値は正常値を超えるといわれています。
尿酸値とは血清1dlあたり尿酸が何mg含まれているかの値です。血清とは血液から赤血球や白血球などの細胞成分などを除いた黄色い液です。健康な人の血清中の尿酸値を調べてみると以下の通りとなります。
- 成人男性:4.0〜6.5mg/dl
- 成人女性:3.0〜5.0mg/dl
この値は、常に安定しているのではなく、食事の内容や時間でも変動しますが尿酸値が7.0mg/dlを越えると、高尿酸血症と診断されます。
どの人間ドックでも、尿酸は検査項目のひとつになっていて、前述の尿酸値を正常値としていますが、基準値と呼んだほうがいいでしょう。
いずれにしても問題になるのは、男女共7.0mg/dl以上の場合です。
高尿酸血症は3つの病型に分類できる
尿酸の精算と排泄のバランスによって高尿酸血症は以下の3つのタイプに分類することができます。
排泄低下タイプ
腎臓から排泄される尿酸の量が少なくなり、尿酸プールが溢れだしてしまうタイプで日本人には一番多いタイプです。
産生過剰タイプ
尿酸の排泄機能は正常なのに、尿酸が過剰に作られるために、尿酸プールが溢れてしまうタイプです。
混合タイプ
排泄低下タイプと産生過剰タイプの混合型です。
この病型分類は、尿中尿酸排泄量と尿酸クリアランス、クレアチニン・クリアランスという検査結果で判定されます。
タイプによって投与する薬物も変わってきます。
日本人には排泄低下タイプが最も多いのですが、最近、排泄が低下しても産生が過剰にならなければ高尿酸血症にならないのではないかという考えから、産生過剰型と診断されるケースが増えています。
一次性高尿酸血症が全体の9割以上を占める
また高尿酸血症の原因によっても分類します。ひとつはもっとも一般的なもので、一次性といい、もうひとつは何らかの疾患によって引き起こされたものや薬剤によって起きるものをいいます。一次性は二次性のようにはっきりした原因がわからないので、9割以上を占めます。
二次性の高尿酸血症のうち、尿酸が過剰に作られる原因となる疾病としては、白血病や骨髄腫、溶血性貧血などの血液の病気、レッシュ・ナイハン症候群などがあります。これらの病気にかかると、細胞が大量に破壊されたり、尿酸が過剰に産生されることになります。
慢性腎不全は、排泄低下タイプの原因疾患となります。
降圧利用剤、結核薬、高脂血症薬、パーキンソン病薬などは、排泄機能の低下を引き起こします。
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