3) 高尿酸血症の原因

尿酸値を確実に上昇させる生活習慣とは


排泄される尿酸と産生される尿酸とのバランスがくずれて血中の尿酸が増えると高尿酸血症となります。

原因は栄養の過剰摂取アルコールを長期間にわたり大量に飲み続ける、また精神的ストレス、肥満、運動不足などが考えられます。

さらには、痛風の患者さんの20%は親・兄・弟・親戚に痛風の人がいることから、遺伝的な要因も考えられます。

高尿酸血症は圧倒的に男性に多い病気です。これは、もともとの尿酸の量が女性は男性の3分の2しかないこと。またエストロゲンなどの女性ホルモンが尿酸の排泄を促進しているからだと考えられています。

しかし、女性でも中高年になって閉経を迎えると、女性ホルモンの分泌量が減りますから、尿酸値が高くなります。

血中に溢れ出た尿酸はある水準以上の濃度に達すると、溶けきれなくなって結晶化します。この結晶が関節に沈着して、あるきっかけで剥がれ落ちた時に、あの激烈な痛みを伴う痛風発作が引き起こされるわけです。

これまで痛風は、40歳を過ぎた男性がかかるものと思われていましたが、最近では30歳代の働き盛りの男性が痛風発作のピークになっていると報告されています。

なぜ、これほどまでも高尿酸血症や痛風の患者さんが増加しているのか、その原因についてもう少し詳しく見てみましょう。

食生活の欧米化と肥満の増加

昭和30年代の食卓に肉が上がるのは特別のことでした。いわばご馳走だったわけです。ところが、現在では「ご馳走」という感覚が薄れてしまうほど私たちは高タンパク、高脂肪の料理を日常的に食べています。

結果、当然ながら肥満が増えてきます。肥満指数が上がるとともに高尿酸血症にかかっている人が多くなっていることも明らかになっています。肥満指数25以上の人の約70%の人が高尿酸血症にかかっていると報告されています。

アルコールの多飲

アルコールは尿酸のもとになるプリン体を増やす上に、尿酸の排泄量を低下させますので、尿酸値を上げる要因となります。現に痛風の患者さんには大量のアルコールを長い間に飲み続けている人が少なくありません。特にビールは尿酸の元になるプリン体を多く含むので注意が必要です。

激しい運動

スポーツ選手には痛風に苦しむ人が以外に多いようです。体力を消耗するような激しい運動は尿酸値を上昇させるからです。エネルギーの消耗で尿酸が増え、なおかつ腎臓への血流量が減るため、排泄量も低下するからだと考えられています。

ただし、軽い運動はお勧めです。高脂血症のように直接中性脂肪を低下させるといった効果はありませんが、肥満を解消し、併発する生活習慣病を改善させるなどいろいろな効果をもたらしてくれます。発汗や下痢で脱水症状になったときも尿酸値が上昇します。

ですから炎天下で激しいスポーツによって大量に汗をかいたあとに冷えたビールをジョッキでグッと飲み干せば、尿酸は間違いなく上昇します。

ストレス

痛風患者の歴史は、偉人の歴史に符合するといっていいくらい、そうそうたる顔ぶれが揃っています。歴史に名を残すような偉業を成し遂げたわけですから、それなりにストレスがかかったことでしょう。現代のデータでも活動的で責任感の強いタイプが痛風になりやすいとされています。

尿酸値を上げる疾病や薬物

その他、病気によっても尿酸値は上昇しますし、利尿剤喘息薬などの薬剤にも尿酸値を上げるものがあります。さらにはDNA・RNAといった核酸を大量に含んだ健康食品にも尿酸値を上げる作用があります。

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