「見えない障害」って何？高次脳機能障害の症状と家族の接し方

1. 高次脳機能障害とは？「見えない障害」の正体

高次脳機能障害とは、脳の損傷（交通事故、脳卒中、脳炎など）によって、言語、記憶、注意、遂行機能、認知、感情などの高度な脳の機能に障害が生じる状態を指します。

特徴	説明
見えない障害	身体的な麻痺や外見上の変化が少ないため、一見して健常者と区別がつきません。そのため、周囲からは「怠けている」「わがままになった」と誤解されやすく、本人も周囲も苦しむことが多いのが特徴です。
主な原因	脳卒中（脳出血、脳梗塞）、頭部外傷（交通事故）、低酸素脳症、脳炎・髄膜炎など。

高次脳機能障害の症状は多岐にわたりますが、日常生活や社会復帰を困難にする主要な症状を解説します。

高次脳機能障害を持つ方への家族の接し方は、本人の混乱や苛立ち、家族間のストレスを軽減するために非常に重要です。

症状	適切な接し方と具体的な工夫	NGな接し方
記憶障害	メモやチェックリストを徹底。すべての情報を視覚化し、行動の直前に見える場所に置く。	「さっき言ったでしょう！」「どうして覚えられないの？」と叱責する。
注意障害	一度に一つの指示だけ出す。話しかける際は、注意を引いてから（例：「〇〇さん、聞いて」）。	複数の指示を同時に出す。大勢の人がいる場で会話を試みる。
遂行機能障害	作業を細かく分解し、手順をリスト化する。見本やマニュアルを活用する。	「自分で考えてやりなさい」と抽象的な指示を出す。
易怒性・衝動性	冷静に距離を取る。怒りの原因を追求せず、落ち着くまで待つ。「わがまま」ではないことを理解する。	感情的になり、言い返したり、議論を試みたりする。

重要な視点

症状は本人の努力不足や怠慢ではなく、脳の損傷によるものであることを家族全員が理解することが、支援の土台となります。