【しつこい咳の正体】マイコプラズマ肺炎の症状と見分け方:RSウイルス・風邪との違いを解説

1.マイコプラズマ肺炎とは?「しつこい咳」の正体

マイコプラズマ肺炎は、マイコプラズマ・ニューモニエという細菌によって引き起こされる呼吸器感染症です。

一般的な肺炎と異なり、比較的軽症で済むケースが多いため、「非定型肺炎」に分類されます。特に学校や集団生活の場で流行しやすいのが特徴です。

最大の特徴:乾いた、しつこい咳

マイコプラズマ肺炎の症状は、初期は風邪に似ていますが、最大の特徴は「乾いた咳(コンコンという音)」が長期間、しつこく続くことです。

症状 特徴
発症から数日経つと、痰が絡まない乾いた激しい咳が続く。夜間や早朝にひどくなりやすい。
発熱 38℃程度の発熱が多いが、高熱になることもある。
潜伏期間 2~3週間と比較的長い。
経過 咳は悪化し、3〜4週間も続くことがある。

2.「風邪」と「RSウイルス」との見分け方

マイコプラズマ肺炎は、初期症状が他の感染症と似ているため区別が難しいですが、「原因」や「症状の経過」に大きな違いがあります。

感染症の種類 原因 咳の特徴と経過 治療薬の有無
マイコプラズマ肺炎 細菌(マイコプラズマ) 乾いた激しい咳3週間以上長引く。 抗菌薬(マクロライド系など)が有効。
一般的な風邪 ウイルス(ライノ、コロナなど) 軽い咳、鼻水、喉の痛みが主。通常7〜10日で自然治癒する。 抗菌薬は無効(対症療法のみ)。
RSウイルス感染症 ウイルス(RSウイルス) 痰の絡んだ湿った咳。特に乳幼児で重症化しやすく、細気管支炎や肺炎を起こしやすい。 抗菌薬は無効(対症療法、重症時は入院)。

見分けるポイント

  • 長引く咳:普通の風邪なら10日程度で治まるはずの咳が、3週間以上も続く場合はマイコプラズマ肺炎を強く疑います。
  • 乾いた咳 vs. 湿った咳:乾いた咳が続く場合はマイコプラズマや百日咳。痰が絡んだ咳が続く場合はRSウイルスや他の細菌性肺炎の可能性があります。

3.医療機関を受診すべきタイミングと治療法

受診すべきタイミング

  • 咳が10日以上続き、悪化している場合
  • 高熱が続き、全身のだるさや胸の痛みが強い場合
  • 乳幼児や高齢者で咳や発熱の症状がある場合。

治療の要点

マイコプラズマは細菌が原因であるため、特定の種類の抗菌薬が有効です。

  • マクロライド系抗菌薬:マイコプラズマに対して一般的に使用される第一選択薬です。
  • テトラサイクリン系、ニューキノロン系抗菌薬:マクロライド系が効かない場合や、耐性菌が疑われる場合に使用されます。

自己判断で風邪薬を飲み続けてもマイコプラズマ肺炎は治りません。咳が長引く場合は、必ず医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けてください。