パーキンソン病は、脳内のドーパミンを生成する神経細胞が減少することで発症する、進行性の神経変性疾患です。早期に発見し治療を開始することで、進行を遅らせ、長く質の高い生活を送ることが可能です。
1. パーキンソン病の「4大運動症状」と初期サイン
パーキンソン病は、以下の4つの主要な運動症状で診断されますが、病気の初期にはわずかなサインとして現れることが多いです。
| 症状 | 初期サイン(気づきにくい変化) |
| ① 振戦(しんせん) | 安静時の手の震え(特に片側)。リラックスしている時や緊張時に出やすい。 |
| ② 固縮(こしゅく) | 肩や首のこわばりが続く、疲れがとれない。 |
| ③ 動作緩慢(かんまん) | 動作が遅くなる、以前より時間がかかる。ボタンを留める、文字を書くのが苦手になる。 |
| ④ 姿勢反射障害 | バランスが悪く、転びやすい、または前かがみの姿勢になる。 |
2. 見逃されやすい「非運動症状」のチェックリスト
運動症状が現れる数年〜数十年前に、非運動症状と呼ばれる自律神経や精神面での変化がサインとして現れることがあります。
初期症状チェックリスト(過去数ヶ月~数年の変化)
| カテゴリ | チェック項目 | 危険度 |
| 嗅覚 | 食べ物や花のにおいが以前よりわからなくなった。 | 高 |
| 睡眠 | 寝言を言いながら、夢の内容に合わせて大声を出したり、手足を激しく動かしたりする(レム睡眠行動障害)。 | 高 |
| 自律神経 | 便秘がひどくなった、特に原因なく立ちくらみ(起立性低血圧)がある。 | 中 |
| 精神面 | 特に原因なく抑うつ気分が続き、興味や意欲が低下している。 | 中 |
| 手の変化 | 書く文字が以前より小さくなった(小字症)、手がこわばりやすい。 | 中 |
| 顔の表情 | 無表情に見えることが増えた(仮面様顔貌)。 | 中 |
| 歩行の変化 | 歩き始めの一歩が出にくい(すくみ足の兆候)、足を引きずるようになった。 | 高 |
3. 専門医への相談と受診の目安
チェックリストの項目が複数当てはまり、「特に手の震えが安静時に出る」「便秘や嗅覚障害が長年続いている」「レム睡眠行動障害がある」といった症状がある場合は、早急に専門医に相談してください。
受診すべき窓口
- 神経内科:パーキンソン病は神経内科が専門とする疾患です。総合病院や専門クリニックの神経内科を受診してください。
- 専門医の確認:可能であれば、「日本神経学会認定 神経内科専門医」の資格を持つ医師がいる施設を選びましょう。
パーキンソン病は進行性の病気ですが、早期に診断し、適切な薬物療法(ドーパミン補充療法など)とリハビリテーションを開始することで、日常生活の質を長く維持することが可能です。
