1. レビー小体型認知症(DLB)とは
レビー小体型認知症(DLB: Dementia with Lewy Bodies)は、脳の神経細胞内に「レビー小体」という異常なタンパク質の塊ができることで発症する進行性の認知症です。アルツハイマー病に次いで多い認知症ですが、その症状の多様さから診断が難しいとされています。
2. DLBに特有の「3大特徴的な症状」
DLBは、認知機能の低下に加えて、幻視、パーキンソン症状、認知機能の変動という中核症状(診断に必須の症状)を持つことが特徴です。
① 幻視(リアルな幻覚)
- 特徴:非常に具体的で、生き生きとした「人がいる」「動物がいる」といった幻覚を、主に夕方や夜間に体験します。
- 認知:幻覚だと認識できる場合(病識がある)もありますが、現実と区別がつかなくなることもあります。
- 場所:部屋の隅や窓の外など、暗い場所や視界の端に現れることが多いです。
② パーキンソン症状(運動機能の障害)
- 特徴:手足の震え(振戦)、動作の緩慢さ(寡動)、筋肉のこわばり(固縮)、姿勢の不安定さ(転びやすさ)など、パーキンソン病とよく似た運動症状が現れます。
- DLBの特徴:DLBの場合、認知症の症状が始まってから1年以内にこれらの運動症状が出現することが多いとされています。
③ 認知機能の変動(ウェービング)
- 特徴:「良い時」と「悪い時」の差が激しいのが特徴です。1日の中でも、数時間単位で覚醒レベルや認知能力が大きく変動します。
- 具体例:ある時間は会話が成立し理解力があるのに、次の時間にはぼんやりして話が通じなくなる、といった状態が見られます。
3. 診断の難しさと初期のサイン
診断が難しい理由
DLBは、アルツハイマー病やパーキンソン病と症状が重複したり、混在したりするため、初期段階での診断が非常に難しいとされています。
- 症状の変動:認知機能が変動するため、診察時にたまたま「良い時」だと症状が見過ごされやすい。
- パーキンソン症状との区別:パーキンソン病も認知機能低下を伴うことがあり、DLBとの区別が専門医でも難しい場合がある。
DLBの初期サイン
認知機能の低下より先に、以下の症状が現れることがあります。これらに気づいたら、専門医への相談が必要です。
- レム睡眠行動障害(RBD):寝言や、夢の内容に合わせて大声を出したり、手足を激しく動かしたりする症状。DLBを発症する数年~数十年前に出現することが多いです。
- 便秘:初期から、頑固な便秘を訴えるケースが多い。
- 自律神経症状:立ちくらみ(起立性低血圧)、失神、頻繁な発汗異常など。
相談窓口
上記のような特徴的な症状が見られた場合は、神経内科またはもの忘れ外来といった認知症を専門とする医療機関を受診することが、早期かつ正確な診断に繋がります。
