カンピロバクター食中毒は、日本で発生件数が最も多い細菌性食中毒の一つです。特に鶏肉の生食や加熱不足が主な原因となります。
1. 潜伏期間が長いのが特徴
カンピロバクター菌は、他の食中毒菌と比べて潜伏期間が長いのが特徴です。
| 項目 | 特徴 | 補足 |
| 潜伏期間 | 2日〜5日間(平均3日) | 菌を摂取した直後ではなく、数日経ってから症状が出始めるため、原因食品の特定が難しくなります。 |
2. 初期症状と主な症状
症状は風邪や胃腸炎と似ているため、食中毒と気づきにくいことがありますが、特徴的な症状があります。
① 初期症状
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発熱: 37℃〜38℃台の微熱から高熱。
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全身の倦怠感: 全身がだるく、体が重い。
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頭痛・筋肉痛: 節々の痛みを感じる。
② 主な症状
潜伏期間を経て、初期症状から以下の消化器症状へ移行します。
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激しい腹痛: 特に下腹部の激しい痛みやしぶり腹(便意があるのに便が出ない感じ)を伴うことが多い。
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下痢: 水様便または粘液便で、血便を伴うことがあります。
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吐き気・嘔吐: 吐き気や嘔吐を伴うことがありますが、サルモネラやノロウイルスに比べると頻度は低めです。
危険性:ギラン・バレー症候群
カンピロバクター食中毒を発症した人のごく一部(約1,000人に1人)で、数週間後に「ギラン・バレー症候群」という自己免疫疾患を発症することがあります。これは手足の麻痺や呼吸困難を引き起こす重篤な病気です。
3. 病院へ行くべき判断基準
症状の多くは自然に改善しますが、以下のいずれかに当てはまる場合は、重症化や合併症のリスクがあるため、すぐに医療機関(消化器内科など)を受診してください。
① 重症化を示すサイン
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血便が続く:大量の血便や、血便が数日続く場合。
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激しい腹痛が続く:痛みが我腹部全体に広がり、周期的な激痛が治まらない。
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高熱が続く:38.5℃以上の高熱が2日以上続く。
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脱水症状:尿量が極端に少ない、口の渇きがひどい、めまいがあるなど。
② ギラン・バレー症候群の初期サイン
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手足のしびれ、麻痺:下痢などの症状が治まった後、手足に力が入らない、指先や足先にしびれを感じるようになった。
受診時のポイント
病院を受診する際は、「数日前に鶏肉を食べた」または「食中毒の疑いがある」ことを必ず伝えてください。カンピロバクター菌は一般的な便培養検査では検出されにくいため、この情報が適切な検査・診断に繋がります。
4. 予防の基本:鶏肉の調理
カンピロバクターは熱に弱いです。予防のためには、特に鶏肉の取り扱いに注意しましょう。
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加熱徹底: 鶏肉は中心部の色が変わるまで(75℃以上で1分間以上)しっかりと加熱してください。
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調理器具の区別: 生の鶏肉を切った包丁やまな板は、他の食品に使う前に熱湯で消毒しましょう。
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生食は避ける: 鶏のたたき、鶏わさ、レバ刺しなど、生の鶏肉料理は極めて危険です。
