【10mmが境界線】胆嚢ポリープは放置で大丈夫?良性とがんを分けるサイズと形を解説

胆嚢ポリープは、健康診断の腹部超音波検査(エコー)で偶然見つかることが多く、そのほとんど(約9割)は良性の「コレステロールポリープ」です。しかし、一部にがん化するリスクがあるポリープ(腺腫)が存在するため、見極めが重要です。

1. 悪性を分ける「〇〇mmが境界線」

胆嚢ポリープが悪性(がん)であるかどうか、あるいは将来がん化するリスクが高いかどうかの判断基準として、サイズ(最大径)が最も重視されます。

ポリープのサイズ リスクの分類 推奨される対処
5mm以下 低リスク。ほとんどがコレステロールポリープで良性と判断される。 1年に1回の腹部エコーによる経過観察が基本。
5mm超〜10mm未満 中リスク。良性の可能性が高いが、増大傾向に注意が必要。 6ヶ月〜1年に1回の腹部エコーによる厳重な経過観察
10mm(1cm)超 高リスク。悪性(がん)の可能性や将来的ながん化リスクが高い。 手術(胆嚢摘出術)が強く推奨される。

【最重要境界線:10mm】

10mm(1cm)を超えるポリープは、悪性である確率が急激に高まるため、画像検査や血液検査で他のリスク因子がなくても、外科的な治療(胆嚢の摘出)が推奨されることが一般的です。

2. 良性とがんを分ける「ポリープの形(形態)」

サイズと並んで重要なのがポリープの形(形態)と増大速度です。

① 茎の有無(形態)

形態 特徴 リスク
有茎性(ゆうけいせい) 茎(軸)があり、キノコ型になっている。 低い。ほとんどが良性のコレステロールポリープ。
無茎性(むけいせい) 根元が広く、食道の壁に張り付いたような形(隆起性病変)。 高い。腺腫や早期がんである可能性が高く、手術の検討が必要。

② 増大速度

  • 増大傾向: 経過観察中にポリープが急激に大きくなる(特に年間2mm以上)場合は、悪性の可能性が高まります。

  • 多発性 vs 単発性: 複数(多発性)のポリープは、一般的に良性のコレステロールポリープであることが多いです。単発性のポリープの方が悪性化リスクを念頭に置く必要があります。

3. 放置してはいけない・手術を検討すべき判断基準

以下のいずれかの項目に当てはまる場合は、自己判断せず、速やかに消化器内科または外科を受診し、専門医に相談してください。

  1. ポリープのサイズが10mm(1cm)を超えている。

  2. 無茎性(根元が広い)で、形がいびつである。

  3. 経過観察中にサイズが急激に大きくなったことが確認された。

  4. 胆嚢ポリープの既往に加え、胆石が併存している場合。(胆石とポリープが合併すると、がん化リスクがさらに高まる)

胆嚢ポリープによる胆嚢摘出術は、腹腔鏡手術で行われることが多く、体への負担も少ないため、リスクが高い場合は早期に手術を選択することが推奨されます。