「お尻から太ももの裏、ふくらはぎにかけて、鋭い痛みやしびれがある」場合、それは坐骨神経痛である可能性が高いです。坐骨神経痛は病名ではなく、坐骨神経の走行に沿って現れる「症状」の総称です。
坐骨神経痛の主な原因と症状のメカニズム
坐骨神経は、腰からお尻を通り、太ももの裏側、ふくらはぎ、足先まで伸びる人体で最も太く長い末梢神経です。この神経が圧迫されたり、炎症を起こしたりすることで痛みやしびれが発生します。
原因①:腰部の疾患(最も多い原因)
- 腰椎椎間板ヘルニア: 背骨の椎間板が飛び出し、神経を圧迫する。
- 腰部脊柱管狭窄症: 脊髄の神経が通るトンネル(脊柱管)が狭くなり、神経が圧迫される。特に高齢者に多い。
原因②:お尻の筋肉による圧迫
- 梨状筋症候群: お尻の奥にある「梨状筋(りじょうきん)」の下を坐骨神経が通っています。この筋肉が硬くなったり炎症を起こしたりすることで、神経が圧迫され痛みが生じる。デスクワークや中腰の作業が多い人に多い。
主な症状
症状は、片側のお尻から足にかけて現れることが多く、以下の特徴があります。
- お尻、太ももの裏、ふくらはぎにかけての鋭い痛み。
- ピリピリ、ジンジンとしたしびれ感。
- 座っているときや、前かがみになったときに症状が悪化する。
- 重度の場合は、足の感覚麻痺や筋力低下を伴うことがある。
今すぐ試せる!坐骨神経痛に効果的なストレッチ3選
坐骨神経痛の多くは、お尻や股関節周りの筋肉の緊張が原因で起こります。筋肉を緩め、神経への圧迫を軽減するためのストレッチを試しましょう。痛みが出ない範囲で行うことが重要です。
ストレッチ①:梨状筋を伸ばす(座って行う方法)
坐骨神経痛の原因として非常に多い梨状筋の緊張をほぐします。
- 椅子に深く座り、痛む側(しびれている側)の足首を、もう片方の膝に乗せる(あぐらをかいたような状態)。
- 背筋をまっすぐ伸ばしたまま、ゆっくりと体を前に倒していく。
- お尻の奥が伸びているのを感じたところで、20〜30秒キープする。
- 痛みを感じる場合は無理せず、わずかな伸びを感じる程度に留める。
ストレッチ②:太もも裏のストレッチ(ハムストリングス)
太ももの裏側(ハムストリングス)の硬さも、お尻の緊張を招き、坐骨神経痛の原因になります。
- 床に座り、片方の足をまっすぐ前に伸ばし、もう片方の足は膝を曲げて内側に倒す。
- 背筋をまっすぐ伸ばしたまま、前に伸ばした足のつま先に向かってゆっくりと体を倒していく。
- 太ももの裏が心地よく伸びるのを感じたところで、20〜30秒キープする。
ストレッチ③:股関節周辺のストレッチ(膝抱え)
股関節周辺の筋肉を緩め、腰への負担を軽減します。
- 仰向けに寝て、両手で片方の膝を抱える。
- 膝を胸にゆっくりと引き寄せる。
- お尻や股関節の付け根が伸びるのを感じたところで、20〜30秒キープする。
病院へ行くべき判断基準
ストレッチやセルフケアで改善が見られない場合、または以下のような危険な症状が出た場合は、すぐに整形外科を受診してください。
- 痛みが非常に強く、安静にしていても我慢できない。
- 足の感覚が麻痺してきた、または足首や足指に全く力が入らなくなった(麻痺の進行)。
- 排尿・排便のコントロールができなくなった(馬尾症候群の疑い)。
これらの症状は、重度の神経障害を示唆している可能性があります。専門医の診断と適切な治療が必要です。
