アジソン病

アジソン病は、副腎皮質ホルモンの分泌が不足する稀な疾患で、初期症状は倦怠感や食欲不振など一見軽度に思えるものですが、放置すると命に関わることもあります。この記事では、アジソン病の症状、原因、診断、治療法、そして日常生活への影響について詳しく解説します。

アジソン病とは?

アジソン病(Addison病)は、副腎皮質の機能が低下し、体内のコルチゾールやアルドステロンといったホルモンが不足する「副腎不全」の一種です。原因の多くは自己免疫によるものですが、感染症やがん転移などが原因となることもあります。

アジソン病の主な症状

アジソン病は症状がゆっくりと進行するため、見逃されやすい特徴があります。以下は代表的な症状です。

症状 具体的な内容
慢性的な疲労感 どれだけ休んでも疲れが取れない
体重減少 食欲不振により徐々に体重が落ちる
低血圧 立ちくらみやめまいを伴う
皮膚の色素沈着 特に日焼けしていないのに肌が黒くなる
吐き気・下痢 消化器系の不調が出ることがある

アジソン病の原因とリスク要因

アジソン病の原因は大きく2つに分けられます。

  • 自己免疫疾患:最も多い原因で、副腎を攻撃する抗体が作られる
  • 感染症・転移性がん:結核菌やがん細胞が副腎に影響を及ぼす

以下のような人はリスクが高まるとされています:

  • 自己免疫疾患(甲状腺疾患、1型糖尿病など)の既往がある
  • 慢性的な感染症にかかっている
  • がんの治療中または経過観察中

アジソン病の診断方法

診断は慎重に行われる必要があります。以下の検査が主に用いられます。

検査項目 目的
血液検査 ナトリウムやカリウム、コルチゾール値を確認
ACTH刺激試験 副腎の反応性を調べる
画像診断(CT/MRI) 副腎の形態異常や腫瘍を調べる

アジソン病の治療法と予後

アジソン病の治療の基本は、不足しているホルモンを補充することです。

  • ヒドロコルチゾン(コルチゾールの補充):日常的に服用
  • フルドロコルチゾン(アルドステロンの補充):必要に応じて追加

適切な治療を受けていれば、日常生活はほぼ問題なく過ごせると言われています。ただし、ストレス時や手術時には薬の調整が必要になります。

アジソン病と生活の注意点

アジソン病の患者さんが日常生活で気をつけるべきポイントをまとめました。

  • 薬を絶対に自己判断で中止しない
  • ストレス時には薬の増量が必要(医師に指示を仰ぐ)
  • 病気に対する理解を深める(家族にも周知)
  • 副腎クリーゼ予防のため、緊急時用のステロイド注射キットを持ち歩く

Q&A:アジソン病に関するよくある質問

Q1. アジソン病は完治しますか?

A. 根本的な完治は難しいですが、ホルモン補充療法により通常の生活を送ることが可能です。

Q2. どのくらいの頻度で通院が必要ですか?

A. 初期は1〜3ヶ月ごと、安定してきたら6ヶ月〜1年ごとの通院が一般的です。

Q3. 妊娠・出産に影響はありますか?

A. 適切な治療と管理を行えば妊娠・出産は可能です。産婦人科医と内分泌科医の連携が重要です。

まとめ

アジソン病は発症率が低く、診断まで時間がかかることが多い疾患です。しかし、早期発見と適切な治療により、健康な人と同様の生活を送ることが可能です。慢性的な疲労や皮膚の変化を感じた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

この記事が、アジソン病への理解を深める一助となれば幸いです。

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