アスペルガー症候群(ASD)はどこで診断できる?病院選びから費用まで、大人の発達障害の専門医が解説

大人になってから「生きづらさ」の原因としてアスペルガー症候群(ASD)の特性に気づき、診断を希望する方が増えています。ASDの診断は、専門的な知識と経験が不可欠です。

1. ASDの診断が受けられる専門機関

ASD(自閉スペクトラム症、旧アスペルガー症候群)の診断は、主に以下の専門的な医療機関で行われます。

医療機関の種類 特徴と役割
① 精神科・心療内科 最も一般的な窓口です。特に「発達障害専門外来」を設けている病院を選ぶと、専門的な診断・治療を受けやすいです。
② 大学病院の精神科 臨床経験豊富な専門医が多く、セカンドオピニオンや複雑なケースの診断に適しています。ただし、初診までに時間がかかることが多いです。
③ 発達障害専門クリニック 発達障害の診断と治療に特化しており、きめ細やかなサポートやカウンセリングを提供している場合があります。

注意:どこでも診断できるわけではない ASDの診断は、知能検査(WAIS-IVなど)の結果や生育歴のヒアリングなど、多角的な評価が必要です。発達障害の専門知識がない一般的な精神科や心療内科では、適切な診断が難しい場合があるため、事前に「大人の発達障害の診断を行っているか」を確認してください。

2. 失敗しない病院選びの4つのポイント

専門医による正確な診断が、その後の適切な支援に繋がります。以下の点を基準に病院を選びましょう。

ポイント①:専門性の有無

病院のホームページで**「大人の発達障害」「ASD専門外来」「アスペルガー」といったキーワードがあるか確認する。また、医師が精神科専門医**であり、発達障害の診療経験が豊富であることを確認しましょう。

ポイント②:診断までのプロセス

以下の検査・評価体制が整っているかを確認してください。

  • 知能検査(WAIS-IVなど):特性の凸凹や認知の傾向を数値で把握する。
  • 生育歴の聴取:幼少期の様子や困りごとについて、ご本人だけでなく可能であればご家族からも情報収集を行う。
  • 心理検査:ADHDや他の精神疾患との鑑別を慎重に行う。

ポイント③:診断後の支援

診断を受けること自体が目的ではなく、その後の「困りごと」をどう改善するかが重要です。診断後の薬物療法、カウンセリング、あるいは就労支援などの連携体制があるかを確認しましょう。

ポイント④:予約の難易度

大人の発達障害の専門外来は混雑していることが多いため、初診の予約が数ヶ月先になることもあります。まずは電話で予約状況を確認し、受診までの待機期間も考慮に入れて病院を選びましょう。

3. 診断にかかる費用の目安(保険適用の場合)

ASDの診断には、診察料に加え、知能検査や各種心理検査が含まれるため、一般的な精神科の診察よりも費用がかかります。

項目 費用目安(3割負担) 特徴
初診料 数千円程度
心理検査・知能検査 1万円〜2万円程度 複数回の診察とは別に、検査専門の日に費用が発生することが多いです。
継続的な診察 1回あたり1,500円〜2,000円程度 診断確定後、治療や経過観察のための定期的な診察費用。

高額療養費制度 心理検査を含め、診断までに複数回通院し、1ヶ月の医療費が高額になった場合は、高額療養費制度の対象となる可能性があります。

ご自身の特性を正しく理解することは、生きづらさを解消し、ご自身の強みを活かすための第一歩です。専門医のサポートを受けながら、より良い生活を目指しましょう。