近年、海外旅行者の増加や地球温暖化の影響により、デング熱の感染リスクが日本でも高まっています。この記事では、デング熱の基礎知識から予防方法、症状、治療法までをわかりやすく解説。感染を防ぐために必要な対策をしっかり押さえておきましょう。
デング熱とは?
デング熱は、デングウイルスによって引き起こされる感染症で、主に蚊(ネッタイシマカやヒトスジシマカ)を介して人に感染します。特に熱帯・亜熱帯地域で多く見られ、日本でも夏季に輸入感染例が報告されています。
デングウイルスの特徴
- RNAウイルスの一種
- 4つの血清型(DEN-1~4)あり、1型に感染しても他の型には免疫がない
- 2回目以降の感染で重症化することもある(デング出血熱)
デング熱の主な症状
デング熱の潜伏期間は3~7日程度です。以下のような症状が現れます。
症状 | 説明 |
---|---|
高熱 | 38~40℃の発熱が急に現れ、数日続く |
頭痛 | 特に目の奥の痛みが特徴的 |
筋肉痛・関節痛 | 「骨折熱」と呼ばれるほどの強い痛み |
発疹 | 熱が下がる頃に全身に出現 |
吐き気・嘔吐 | 消化器症状を伴うことも |
注意:発熱や痛みはインフルエンザとも似ていますが、流行地への渡航歴がある場合はデング熱を疑う必要があります。
重症化する可能性とデング出血熱
1回目の感染で重症化するケースは稀ですが、異なる血清型に再感染すると「デング出血熱」または「デングショック症候群(DSS)」を引き起こす可能性があります。
重症化の兆候
- 持続的な腹痛
- 頻回の嘔吐
- 出血(歯ぐき、鼻など)
- 呼吸困難
これらの症状が出た場合は、すぐに医療機関を受診してください。
感染経路と発生地域
デング熱の感染は蚊が媒介</strongします。人から人へ直接感染することはありません。
主な発生地域
- 東南アジア(タイ、ベトナム、フィリピンなど)
- 中南米(ブラジル、メキシコなど)
- アフリカ、中東、太平洋諸島
日本での感染状況
日本国内での感染は主に輸入感染ですが、2014年には東京都内で国内感染が確認されました。特に夏季は、感染者が持ち込んだウイルスが日本の蚊に媒介される可能性があります。
デング熱の予防方法
デング熱には現在、一般的な治療薬やワクチンが日本では使用されていません。そのため、蚊に刺されないことが最大の予防です。
蚊に刺されないための対策
- 長袖・長ズボンを着用
- 虫よけスプレーを使用(ディートやイカリジン)
- 蚊が発生しやすい場所を避ける
- 蚊取り線香・電気蚊取り器の活用
蚊の繁殖を防ぐ方法
- 植木鉢の受け皿、水たまりの水を捨てる
- バケツや雨水タンクの蓋をする
- ベランダや庭を清潔に保つ
Q&A:デング熱に関するよくある質問
Q1. デング熱は人から人へ感染しますか?
A. いいえ。デング熱は蚊(特にネッタイシマカやヒトスジシマカ)を媒介として感染します。人から人への飛沫や接触による感染はありません。
Q2. 海外から帰国した後、どのくらい注意すればいい?
A. 発症までの潜伏期間は3〜7日程度です。帰国後1週間は体調の変化に注意し、発熱などがあれば医療機関に相談しましょう。
Q3. 妊娠中でも感染しますか?
A. 妊婦も感染する可能性があります。胎児への影響は明確ではありませんが、海外渡航時は特に注意が必要です。
Q4. 一度感染すると免疫はできますか?
A. 感染した型に対しては免疫ができますが、他の型には感染するリスクがあり、2回目の感染は重症化のリスクもあるため注意が必要です。
Q5. デング熱の治療法はありますか?
A. 現在、デング熱に特効薬はありません。症状に応じた対症療法(解熱剤、水分補給など)が中心です。重症化しないよう早期受診が大切です。
まとめ
デング熱は蚊を媒介とする感染症であり、適切な対策によって十分に予防可能です。日本でも今後、温暖化に伴って感染リスクが高まる可能性があるため、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 発症地域への渡航時は蚊に刺されない対策を徹底
- 帰国後の体調変化に注意し、早期の医療機関受診を
- 国内でも蚊の発生を抑える環境づくりが重要
「知って備える」ことが、命を守る第一歩です。ぜひこの記事を参考に、デング熱対策を見直してみてください。