バセドウ病の治療法を徹底比較!メルカゾール・手術・アイソトープのメリット・デメリットと再発リスク

バセドウ病の治療は、過剰に分泌されている甲状腺ホルモンの量を正常に戻し、全身の代謝異常を改善することを目指します。どの治療法を選択するかは、患者さんの年齢、甲状腺の大きさ、妊娠の希望、そして生活スタイルによって異なります。

1. 薬物療法(内服薬):メルカゾール、プロパジルの特徴

バセドウ病の治療の第一選択肢です。甲状腺ホルモンの合成を抑える薬(抗甲状腺薬)を使用します。

治療薬 代表的な薬剤 メリット デメリット・再発リスク
抗甲状腺薬 メルカゾール(MMI)、プロパジール(PTU) 体への負担が最も少ない。甲状腺を残すため、将来的に治癒すれば機能も維持できる。 副作用(発疹、肝機能障害、無顆粒球症など)。再発リスク(治療終了後、約30〜50%が再発)。長期間の内服が必要(1.5〜2年が目安)。
治療期間 1.5〜2年

重大な副作用:無顆粒球症

非常に稀ですが、白血球(特に顆粒球)が激減し、免疫力が低下する副作用です。高熱やひどい喉の痛みが出た場合は、直ちに服薬を中止し、医療機関に連絡が必要です。

2. 外科療法(手術):甲状腺亜全摘出術

甲状腺の一部、またはほとんどを切除する治療法です。

治療法 内容 メリット デメリット・再発リスク
手術 甲状腺を部分的に切除し、ホルモン産生量を減らす。 確実な治療効果。比較的短期間で治癒を目指せる。再発リスクが低い(約5〜10%)。 全身麻酔が必要。手術痕が残る。術後の合併症リスク(反回神経麻痺による声のかすれ、副甲状腺機能低下症による低カルシウム血症)。
適応 甲状腺が非常に大きい場合、薬の副作用が強い場合、早期の妊娠を希望する場合など。

3.  放射性ヨウ素内用療法(アイソトープ治療)

放射線を出すカプセル状のヨウ素を内服し、甲状腺に集まったヨウ素が甲状腺の細胞を内側から破壊する治療法です。

治療法 内容 メリット デメリット・再発リスク
アイソトープ 放射性ヨウ素を内服。 体への負担が少ない(切開や麻酔が不要)。再発はほとんどない 治療後に甲状腺機能低下症(ホルモンが不足する状態)になる可能性が高い(その場合はホルモン剤を生涯内服)。妊娠・授乳制限が必要。
適応 中程度の甲状腺の大きさ、手術を望まない方、再発した方。

4. 治療法選択のポイント

治療のゴール 最も適した治療法
まず試したい / 妊娠の希望がある 薬物療法(メルカゾールなど)
確実に早く治したい / 甲状腺が大きい 手術(外科療法)
手術や薬が困難 / 再発を繰り返している アイソトープ治療

治療法は、甲状腺専門医と十分に相談し、それぞれのメリットとデメリット、あなたのライフプランを考慮して決定することが重要です。