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バレット食道」という病名をご存じでしょうか?これは、食道の粘膜が胃の粘膜に近い性質へと変化してしまう疾患で、放置すると食道腺がんへと進行するリスクがある重大な病気です。主に逆流性食道炎と関係が深く、日本でも年々増加傾向にあります。本記事では、バレット食道の原因・症状・診断方法・治療法・予防法について詳しく解説します。さらに、Q&A形式での疑問解消や表を使ったわかりやすい情報もお届けします。
バレット食道とは?
バレット食道とは、本来扁平上皮で覆われている食道の粘膜が、胃や腸に似た円柱上皮に置き換わる病変です。この粘膜の置換は、胃酸や胆汁の逆流によって慢性的な刺激が加わることで生じます。
日本では欧米に比べて比較的少ないとされていましたが、近年は食生活の欧米化に伴い患者数が増加しています。
バレット食道の原因
バレット食道の主な原因は
胃酸の逆流です。以下のような要因が関連しています。
原因 |
具体例 |
逆流性食道炎 |
胃酸や胆汁が食道に逆流し、粘膜が炎症を起こす |
肥満 |
腹圧が高まり逆流を促進 |
喫煙 |
下部食道括約筋の機能低下 |
過度のアルコール摂取 |
食道粘膜への直接刺激 |
バレット食道の症状
バレット食道自体には明確な自覚症状がないことが多いですが、以下のような症状が見られる場合があります。
- 胸焼け
- 呑酸(酸っぱい液体が喉まで上がる)
- 咳や声のかすれ
- のどの違和感や痛み
症状が進行し「バレット腺がん」となると、以下のような症状が現れることがあります。
診断方法と検査
バレット食道の診断には以下の検査が用いられます。
検査方法 |
内容 |
内視鏡検査 |
胃カメラで食道粘膜を直接観察 |
組織生検 |
粘膜の一部を採取して顕微鏡で確認 |
pHモニタリング |
食道内の酸の逆流を24時間測定 |
バレット食道の治療法
バレット食道の治療は、進行度やリスクに応じて異なります。
1. 薬物療法
プロトンポンプ阻害薬(PPI)などを用いて、胃酸の分泌を抑えます。逆流性食道炎の治療と同様のアプローチが取られます。
2. 定期的な内視鏡フォロー
がん化のリスクがあるため、年に1〜2回の内視鏡検査でモニタリングを行います。
3. 内視鏡的粘膜切除術(EMR)・粘膜下層剥離術(ESD)
異形成や早期がんが見つかった場合は、病変部を内視鏡で切除します。
4. 外科的手術
進行がんと診断された場合は、食道切除などの外科的治療が検討されます。
バレット食道の予防法
生活習慣の見直しが最大の予防策です。
- 脂肪の多い食事を控える
- 食後すぐに横にならない
- 肥満を防ぐ
- 禁煙・節酒
- ストレスの軽減
また、定期的な健康診断で逆流性食道炎の早期発見に努めましょう。
よくある質問(Q&A)
Q1. バレット食道は治るのですか?
A. 完全に元の粘膜に戻ることは稀ですが、逆流をコントロールすることで進行を抑えることは可能です。
Q2. バレット食道はがんになりますか?
A. 全てのバレット食道ががん化するわけではありませんが、リスクは高いため定期的な経過観察が必要です。
Q3. 若くてもバレット食道になりますか?
A. 近年は20〜30代でも逆流性食道炎が増加しており、若年層でもバレット食道になるケースがあります。
まとめ
バレット食道は、胃酸の逆流による慢性的な炎症が引き金となる病気で、放置すると食道腺がんへと進展する恐れがあります。自覚症状が少ないため、逆流性食道炎の既往がある方や、胸焼けなどの症状がある方は、医療機関での定期的な内視鏡検査が重要です。
また、生活習慣の改善により予防・進行抑制が可能です。症状が軽くても放置せず、正しい知識を持って早期対策を心がけましょう。