一次性ネフローゼ症候群は、腎臓の糸球体(しきゅうたい)に異常が起こり、尿中に大量のタンパク質が漏れ出すことで起こる病気です。主に小児に多く見られますが、大人も発症することがあります。原因が特定の全身疾患や感染症などに伴わず、腎臓自体の異常によって起こるものを「一次性」と呼びます。
この病気が進行すると、むくみや高脂血症、血液の凝固異常などさまざまな症状が現れるため、早期の診断と適切な治療が必要です。
一次性ネフローゼ症候群の主な症状
以下の表は、一次性ネフローゼ症候群でよく見られる主な症状とその特徴をまとめたものです。
症状 | 特徴 | 発症しやすい時期 |
---|---|---|
浮腫(むくみ) | 特にまぶたや足首に現れやすく、体全体に広がることもある | 初期段階で多い |
タンパク尿 | 尿中に大量のタンパク質が混ざるため、尿が泡立つことがある | 病気の進行とともに現れる |
高脂血症 | 血液中の脂質が異常に増加し、血管障害のリスクも高まる | ネフローゼ症候群の特徴的な症状 |
低アルブミン血症 | 血液中のタンパク質が減少し、体液が血管外に漏れやすくなる | 重症化すると起こる |
一次性ネフローゼ症候群の原因と発症メカニズム
一次性ネフローゼ症候群の原因は明確には解明されていませんが、免疫異常や遺伝的要因が関与していると考えられています。主な病型には以下のものがあります。
- 微小変化型ネフローゼ症候群(MCNS)
- 巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)
- 膜性腎症
これらはいずれも糸球体の機能異常を引き起こし、正常に血液を濾過できなくなることで大量のタンパク質が尿に漏れ出ます。特に微小変化型は小児に多く、ステロイド治療によく反応します。
診断方法と検査のポイント
一次性ネフローゼ症候群の診断には、尿検査や血液検査、場合によっては腎生検が行われます。以下の検査が基本となります。
検査名 | 目的 | 所見の特徴 |
---|---|---|
尿検査 | タンパク尿や血尿の有無を確認 | 大量のタンパク尿(3.5g/日以上) |
血液検査 | アルブミン値、血脂質、腎機能を評価 | 低アルブミン血症、高脂血症が典型的 |
腎生検 | 病型の確定診断、治療方針決定 | 病理組織で微小変化や硬化病変を確認 |
一次性ネフローゼ症候群の治療法と日常生活の注意点
治療は主にステロイド薬を中心に行われ、症状の軽減と病気の再発防止が目的です。その他の治療法や生活上の注意点は以下の通りです。
- ステロイド療法: 初期治療として最も効果的。副作用に注意が必要。
- 免疫抑制剤: ステロイドに反応しない場合に使用。
- 利尿剤: 浮腫の改善に用いられる。
- 食事療法: 塩分制限と適切なタンパク質摂取が重要。
- 定期的な検査: 再発の早期発見と対応のため。
また、生活習慣としては過度の疲労を避け、感染症の予防にも注意を払いましょう。特に免疫力が低下しやすいため、手洗いや予防接種が推奨されます。
一次性ネフローゼ症候群に関するQ&A
- Q1: 一次性ネフローゼ症候群は治る病気ですか?
- A1: 多くの場合、適切な治療により寛解(症状が消える状態)に至りますが、再発することもあります。長期的な管理が必要です。
- Q2: 子供だけがかかる病気ですか?
- A2: 小児に多い病気ですが、大人でも発症することがあります。大人は病型や治療反応が異なる場合もあります。
- Q3: ステロイド治療の副作用はありますか?
- A3: 体重増加、骨粗しょう症、感染症リスクの増加などが挙げられます。医師の指示に従い適切に管理しましょう。
- Q4: 日常生活で注意すべきことは?
- A4: 塩分制限、十分な休養、感染症予防が重要です。無理をせず、体調の変化に注意してください。
- Q5: 定期検査はなぜ必要ですか?
- A5: 再発や合併症の早期発見・治療のためです。尿検査や血液検査を定期的に行いましょう。
まとめ:一次性ネフローゼ症候群の理解と適切なケアが大切
一次性ネフローゼ症候群は、腎臓の異常によって大量のタンパク尿を引き起こし、むくみや高脂血症などの症状が出る病気です。特に小児に多いですが、大人にも見られます。早期診断と適切な治療、定期的な検査と日常生活の工夫が、病状の安定や再発予防に不可欠です。
病気の特徴や治療法を正しく理解し、医師と協力して管理していくことが何より重要です。