乳児血管腫

乳児血管腫は赤ちゃんに比較的よく見られる良性腫瘍の一種です。見た目に赤く盛り上がることから心配になる保護者の方も多いですが、多くの場合、自然に縮小していきます。本記事では乳児血管腫の原因や種類、治療法、経過観察のポイントについて、分かりやすく解説していきます。


乳児血管腫とは?

乳児血管腫(英:Infantile Hemangioma)は、赤ちゃんの皮膚や皮下組織に発生する良性の血管性腫瘍です。出生後数週間で現れ、生後6か月頃まで急激に大きくなり、その後はゆっくりと縮小していくのが特徴です。

乳児100人中約5人に発生するとされ、特に女児・早産児・低出生体重児に多い傾向があります。

乳児血管腫の種類

乳児血管腫は以下のようなタイプに分類されます:

種類 特徴 見た目
表在型 皮膚の表面にでき、赤く盛り上がる 苺のような外見
深在型 皮下組織にできるため皮膚が青紫色に見える しこりのような膨らみ
混合型 表在型と深在型の特徴を併せ持つ 赤と紫が混在

原因と発生のメカニズム

乳児血管腫の正確な原因はまだ明確には解明されていませんが、胎児期の血管の異常発達が関係していると考えられています。以下の要因が発症リスクを高めるとされています。

  • 早産
  • 低出生体重(2,500g未満)
  • 双子・多胎児
  • 女性(男児の約3倍)

また、一部では胎盤由来の細胞が関与しているという説もあります。

治療は必要?自然に治るの?

ほとんどの乳児血管腫は経過観察で問題ありませんが、以下のようなケースでは治療が必要になる場合があります。

  • 視力や呼吸を妨げる部位にある
  • 潰瘍を形成し出血・感染を起こす
  • 大きさや見た目が将来的に問題となる可能性がある

主な治療法

治療法 概要 対象例
経過観察 自然退縮を待つ 小さい・目立たない血管腫
内服薬(プロプラノロール) 成長を抑える効果あり 増大が著しい場合
レーザー治療 主に表在型に有効 目立つ部位・出血リスクがある部位
手術 稀に切除が必要 薬やレーザーで改善しない例

乳児血管腫の経過と注意点

乳児血管腫の経過は以下の3段階に分かれます:

  1. 増殖期(生後1~6か月):急激に大きくなる
  2. 安定期(生後6か月~1歳):成長が止まり形が安定
  3. 退縮期(1歳以降~):徐々に縮小し、5~10歳で平らに

治療が不要な場合でも、月1回など定期的な皮膚科または小児科でのフォローアップが推奨されます。

よくある質問(Q&A)

Q1. 乳児血管腫はがんになりますか?
A. いいえ。乳児血管腫は良性の腫瘍であり、悪性化(がん化)することは基本的にありません。
Q2. 血管腫を触っても大丈夫?
A. 基本的に軽く触れる分には問題ありませんが、無理に押したりひっかいたりするのは避けましょう。
Q3. 保育園に通っても大丈夫?
A. 血管腫自体に感染性はありませんので、特別な処置が必要なければ通常通り通園可能です。

まとめ:慌てず正しい知識を持ちましょう

乳児血管腫は多くの場合、自然に治癒する良性の疾患です。大切なのは、保護者が正しい知識を持ち医師と連携して必要な経過観察や治療を行うことです。もし気になる症状があれば、皮膚科や小児科に相談しましょう。

不安なことがある場合は、一人で抱え込まず、地域の保健センターや育児支援サービスなども活用してください。

タイトルとURLをコピーしました